日本が世界に誇る歴史と伝統の都市、京都。
世界遺産や重要文化財に始まり、数百年の歴史を持つ料亭など、京都の魅力は枚挙にいとまがありません。
とりわけ飲食店は、全国的に名の知られた一流店が多いですが、一見さんお断りや予約困難店など、その敷居の高さも一流。
しかし、バーは比較的ハードルが低く、カウンターを介して京都に息づく文化を肌で感じることのできる絶好の空間です。
この記事では、京都を訪れたら、ぜひ足を運んでいただきたいバーの名店を厳選して15軒ご紹介いたします。
観光の名所である「祇園四条」周辺と、そこから少し離れた落ち着きのある「京都市役所前」周辺に分けて、詳しく解説していきますので、さっそく見ていきましょう。
※緊急事態宣言は解除されましたが、お店ごとに営業日、時間は通常と異なっている場合がありますので、詳細につきましては直接店舗にお問い合わせいただきますようお願い申し上げます。
観光の中心地
「祇園四条駅」エリア8選
祇園四条と言えば、京都観光の代名詞のようなところですが、正確には地名ではなく「祇園四条駅」という駅名で、このエリアのことを指すようになりました。
祇園と言えば、舞妓さん、芸妓さんをはじめとする花街の歴史を色濃く残す、伝統が息づく街。
そんな華やかなエリアに、自然と溶け込むような上質な空間が点在しています。
世界一に輝いたバーテンダーのお店から、お茶屋の面影を残す雰囲気たっぷりのバーまでをご紹介いたします。
世界一に輝いたバーテンダー
Bar Rocking chair
画像出典:※Instagram @sudare.cocktail さんより
ロッキングチェアのオーナーバーテンダーの坪倉健児氏は、2016年のカクテルコンペティションで世界一に輝いたことのある実力者。
坪倉氏は、東京の「ガスライト」で6年、後ほどご紹介する「Bar K6」で4年、東西屈指の名店で修業を積みました。
築100年の古民家を改装した温もりのある店内には、店名にもなっているロッキングチェア(揺り椅子)があり、何とも居心地のよい雰囲気を醸し出しています。
また、店内からきれいな坪庭を望むこともでき、早い時間帯にアペリティフを愉しむのにも最適です。
世界一のカクテルを片手に、古都に溶け込む名店で、上質な大人の時間を過ごされてはいかがでしょうか。
銀座の名店が選んだ新天地・祇園
バー・タリスカー
画像出典:※Instagram @shumiii_giwom さんより
銀座の名店として名を馳せたバー・タリスカー。
店名の通り、ウィスキーのタリスカーをメインに扱い、マニア垂涎の希少なオールドボトルも多く揃う、稀有な存在でした。
しかし、2016年に突如として閉店。
多くのファンの間に衝撃が走ったのです。
オーナーバーテンダーの内田行洋氏が、新天地として選んだのが、京都の祇園でした。
銀座の頃のバーカウンターをそのまま移築した店内は、往年のファンたちを安心させます。
取り揃えるラインナップは銀座の頃と変わらず、レアなボトルがバックバーにずらりと並ぶ様子は、壮観の一言。
希少なウィスキーは言うに及ばず、スタンダードカクテルのレベルも非常に高いので、食前、食後問わず楽しめるバーです。
祇園の街で始まった名店の第二章を味わいに、ぜひ訪れていただきたいバーです。
祇園の中心で北欧を感じる
フィンランディア・バー
画像出典:※Instagram @yoichiro51 さんより
日本で初のフィンランド専門料理店「フィンランディア」が、1982年に開いたフィンランディア・バー。
ウォッカやアクアヴィットといった北欧のお酒を豊富に取り揃えています。
もとはお茶屋だった民家を改装したバーは、祇園の真ん中にあって、自然と街並みに溶け込む外観。
2階はお座敷を残しており、お茶屋の雰囲気を味わうにはぴったりの空間です。
基本的にメニューはなく、バーテンダーとあれこれ相談しながらオーダーするシステム。
軽く2~3杯飲んで、5,000~6,000円程度が目安です。
非常にホスピタリティの高い接客で、小気味良いテンポで弾む会話に、ついついお酒も進んでしまいます。
ゆったりお座敷も利用できる格調高い空間
ザ・コモン・ワン・バー・キョウト
画像出典:※Instagram @pennegorugonzora さんより
上記フィンランディアバーの姉妹店である、ザ・コモン・ワン・バー・キョウト。
築百数十年以上の日本家屋を改築し、京都文化の発信地として開館した何生館(かしょうかん)に入っています。
店舗の入り口にたどり着くまでには、細い石畳のアプローチを進みますが、いかにも京都らしい演出で気分が上がります。
お座敷も用意されており、より京都らしい雰囲気を感じることができるのも魅力の一つ。
カウンターは、フィンランディア・バーよりもオーセンティックな空間で、よりシックな雰囲気を味わえるので、デートシーンにぴったりなバーです。
祇園を見守り半世紀以上
祇園サンボア
画像出典:※Instagram @tomoo_ さんより
バー業界で知らない人はいないであろう名店、サンボア。
1918年(大正7年)に神戸で創業したサンボアは、現在では、のれん分けにより大阪や東京にも複数店舗展開する、老舗中の老舗です。
1972年に、お茶屋を改装してオープンした祇園サンボアは、祇園の旦那衆や、多くの文化人たちに愛されてきました。
現在お店を仕切るのは、2代目の中川よし子さんと4代目中川端貴氏。
親子ほど年の離れたお二人の接客は、老舗の懐の深さを感じさせます。
正統派のバーながら、どこか実家に帰ってきたような安心感のある店内は、ついつい長居したくなるような居心地の良さ。
伝統のハイボールを飲みながら、祇園の歴史を味わってみてください。
鴨川のほとりで過ごす上質な時間
エル・テソロ
画像出典:※Instagram @shumiii_giwom さんより
後述する京都の名店、Bar K6で腕を磨いた大塚祐也氏が、エル・テソロをオープンしたのは2006年。
大きなL字カウンターが醸し出すウッディな質感に加え、窓から鴨川を望む店内の雰囲気は、上質を知る大人のための空間のようです。
スタンダードカクテルはもちろんのこと、自分の好みを伝えて、あとは大塚氏にお任せしてしまうのも楽しみ方の一つ。
名店で培った腕を存分に振るってくれるでしょう。
大塚氏の軽快なトークと銘酒に酔いながら、大切な人とじっくりと時間を満喫してください。
絵画に囲まれる画廊のようなバー
Bar 山水
画像出典:※Instagram @barsansui さんより
オープンから22年の祇園の老舗、バー・山水。
世界的な画家、金子國義氏と縁の深いバーで、店内では同氏の作品を鑑賞できます。
絵画に囲まれた隠れ家のような雰囲気で、著名な文化人の常連客達がメインだそうですが、女性の一人客も多いそうです。
オリジナルのカクテルに加え、なんとラーメンもこちらの名物の一つ。
ディープな祇園の夜を愉しむのにぴったりなバーです。
祇園の街を見下ろす隠れ家
祇園 Bar 壱恵 ikkei
画像出典:※Instagram @ikkei1001 さんより
開け放った大きな窓から、祇園白川と街並みが一望できる絶好の立地にあるのが、バー・壱恵(いっけい)。
ビルの5階から望む夜景は、控えめなちょうちんの灯りと街灯が、祇園の街並みをうっすらと浮かび上がらせて、昼間とは違った表情を見せてくれます。
隠れ家のような雰囲気の中、カクテルをはじめとして、ウィスキーなども比較的リーズナブルに楽しめるのが魅力。
加えて、元料理人のバーテンダーが作る料理も絶品で、コース料理の用意もあります。
秘密にしておきたくなるようなバー・壱恵。
ぜひ、恋人とひっそりと訪れてみてはいかがでしょうか。
繁華街の喧騒から離れる
「京都市役所前駅」エリア7選
祇園四条からほど近いエリアながら、閑静な住宅街も広がる「京都市役所前駅」周辺。
風情を感じさせる京の街並みを残しながらも、モダンで上質な雰囲気の建物が多く、感度の高い飲食店が集まっているのです。
ここでは、京都を代表する有名店から、ワンランク上の上質な空間を味わえる大人のバーまでをご紹介いたします。
京都屈指の名店
Bar K6
画像出典:※Instagram @bark6_kyoto さんより
京都で最も有名なバーである、バー・ケーシックス。
日本のバーテンダー界の重鎮ともいわれる、西田稔氏がオーナーを務めます。
国内外のゲストをはじめ、飲食店関係者らも多く集うハイレベルなバーです。
カクテルに始まり、豊富なウィスキーのストックもあり、訪れる者を飽きさせません。
京都を訪れたなら、絶対に外すことのできない名店。
古都で大人の時間を過ごしたいなら、ぜひこちらへ。
最高峰のカルヴァドス専門店
カルバドール
画像出典:※Instagram @bar_calvador さんより
看板も店名表記もなく、ドアにリンゴのマークが一つ。
雑居ビルの2階にひっそりと佇むバー、カルバドール。
店内に入ると、レンガ作りの棚に大量に並ぶボルトが出迎えてくれます。
こちらは、カルヴァドスというリンゴのブランデーをメインに扱うバーです。
300種類を超えるカルヴァドスに加えて、レアなウィスキーも豊富で、日本でも屈指の品揃えと言えます。
食事の後に、甘美なカルヴァドスを傾けながら大切な人と語らいたい、そんな素敵なバーです。
坪庭を愛でながら愉しむ
bar k家 本館
画像出典:※Instagram @sakua0309 さんより
モダンな外観の建物の1階に入るbar k家(けーや) 本館。
しかし、細い長いアプローチを抜けて引き戸を開ければ、そこには京の町屋を思わせる店内が広がります。
オーナーバーテンダーの黒野純一氏は、上記のバー・タリスカーをはじめ銀座の名店で修業を積まれたベテランです。
タリスカー出身らしく、バックバーには希少なウィスキーをはじめ、1000本を超えるボトルが鎮座し、飲み手の想像を掻き立てます。
もちろんカクテルも充実しており、季節のフレッシュフルーツを使用したオリジナルのものも多数用意されています。
坪庭を望むソファ席もあり、カップルでまったりと過ごすことができる贅沢なバーです。
銀座の名店が京都へ進出
京都・スタア・バー
画像出典:※Instagram @s03785yh さんより
銀座でも屈指の名店とされる、スタア・バー。
国内外でその名を知られるオーナーバーテンダーの岸久氏が、「京都になかったお店」をコンセプトに、銀座の仕事、雰囲気を、京都の地で再現する京都・スタア・バーを2016年にオープンしました。
店長を務めるのは、同じく銀座の名店であるバー・オーパで長く活躍された木戸孝治氏。
味わっていただきたいのは、やはりスタンダードカクテル。
少し背筋の伸びる空間で、日本でもトップレベルの技術を、ぜひ体験してください。
創業90年を超える老舗
京都サンボア
画像出典:※Instagram @juri.santamaria.ap さんより
上記の祇園サンボアと同じく、本店からののれん分け店である、京都サンボア。
歴史はこちらの方が古く、創業から90年を超えます。
年季の入ったカウンターに腰掛ければ、出迎えてくれるのは、3代目の中川宏氏。
なんだかそっけないように感じられるかもしれませんが、これが京都サンボアの距離感なので悪しからず。
おなじみのハイボールを飲みながら、積み重ねてきた歴史が醸しだす空気を味わう、渋い大人のバーです。
4つの個室を使い分ける
雪月花 + SALON
画像出典:※Instagram @maiuruna さんより
有形文化財にも指定されているビルに入る隠れ家的なバー、雪月花+SALON。
大正初期に建てられた、銀行の入る洋館をリノベーションした建物なので、レトロな外観も相まって入店前から気分が高揚します。
オーセンティックバーには珍しい、コンセプトの異なる4つの空間を持ち、利用シーンによって使い分けることができます。
デートにぴったりな雰囲気の部屋に加え、シガーも吸うことができるクラシカルで重厚なサロンもあるので、一人静かにグラスを傾けるのにも最適なバーです。
バーとは思えない充実のフード
Bar MICHIya
画像出典:※Instagram @bar_michiya さんより
オーセンティックバーながら非常にフードが充実しているのが魅力の、バー・ミチヤ。
鮮度にこだわった野菜や魚介類を使用したイタリアンで、コース料理まで用意しているのには驚きです。
広いテーブル席もあるので、落ち着いて食事ができるのもポイントが高いですね。
地元の人たちにも非常に人気があり、訪れる際は予約は必須。
出されるカクテルも非常にレベルが高く、どんなシーンでも安心して利用できるバーです。
終わりに
いかがでしたでしょうか。
京都の中でも有名店が集まる、「祇園四条駅」、「京都市役所前駅」周辺の2つのエリアから、バーをご紹介してまいりました。
京都でもトップクラスの名店に始まり、お茶屋や町屋の雰囲気を活かしたバーや、秘密にしておきたくなる隠れ家的なバーまで。
さまざまなタイプを見てまいりましたが、ご自身のテイストに合うバーはございましたか?
ここでご紹介したバーは、一度は訪れる価値のあるお店ばかりですので、ぜひご参考にしていただければと思います。