白ワインの頂点に君臨するモンラッシェとは?名前の由来から代表的生産者まで徹底解説!

モンラッシェとは、フランスが世界に誇るワインの銘醸地ブルゴーニュの中でも最高峰の白ワイン
つまり、世界中の白ワインの頂点に輝く「白ワインの王様」なのです!

とても希少高価なモンラッシェは、銘柄によってはワイン1本の価格が100万円を超えるものもあるほど。
『三銃士』の著者として有名なアレクサンドル・デュマが、「ひざまづき、脱帽して飲むべし」と称賛した逸話もあり、ワイン愛好家も垂涎のワインび1つです。

しかし、実際に「モンラッシェを飲んでみたい」と思ったとき、多くの人が直面する問題があります。

「名前にモンラッシェとつくワインはたくさん種類があるけど、どれを選ぶべき?」
「モンラッシェには、白ワインの王様じゃないモンラッシェもあるらしい?」
「モンラッシェはワインじゃなくて村の名前?」

実は、モンラッシェにはいくつかの意味があり、正しい知識を持っていないと、そもそも「白ワインの王様」ではない「モンラッシェ」を入手してしまうことも!
ということで今回は、モンラッシェとは?の基礎知識からスタートし、選び方とおすすめの「モンラッシェ」を代表する生産者3選まで網羅的にお伝えします。

基本からしっかり知りたい方は最初から、基礎知識は十分あるという方はおすすめからご覧いただければと思います。

「モンラッシェ」は、村・畑・ワインの名前!

フランス・ブルゴーニュ地方では、ワインの名前は「村名」+「畑名」(付かないこともあります)で表記され、さらに「ヴィンテージ(収穫年)」「生産者名」が加わります。

ですが、「グラン・クリュ(特級畑)」と呼ばれるブルゴーニュの中でも最上位に位置する畑のワインは、「村名」はつけず、その「畑」の名前のみで呼ばれます。
「モンラッシェ」はグラン・クリュに格付けされており、「モンラッシェ」は、ワインの名前であると同時に、「畑」の名前でもあるのです。
それでは、このモンラッシェについて詳しく見てきましょう。

そもそも「モンラッシェ」ってどういう意味?

「Mont」は「山」、「rachet」は「剃られた」という意味で、合わせて「禿山」という意味。
ブルゴーニュ地方には、後ほどご説明しますが、「モンラッシェ」が名前につくグラン・クリュ(特級畑)が5つあるのですが、その背後にある小高い丘が、石灰質土壌でぶどうの樹しか育たないような禿山だったことがその名前の由来です。

2つの村にまたがる畑「モンラッシェ」

モンラッシェは、ピュリニー・モンラッシェ村シャサーニュ・モンラッシェ村という2つの村にまたがって位置しています。

もともとは「ピュリニー村」と「シャサーニュ村」だったのですが、偉大なモンラッシェの畑にあやかる形で、19世紀にこの名前になりました。
これら2つの村は、ブルゴーニュの中でもトップクラスの白ワインを生みだし、白ワインの「聖地」と呼ばれることも。

ちなみに、これらの村で生産されるグラン・クリュ以外のワインは、ご説明した通り「ピュリニー・モンラッシェ」や「シャサーニュ・モンラッシェ」と村名で呼ばれ、この後に「畑」の名前が続くこともあります。

モンラッシェを冠する5つのグラン・クリュ(特級畑)

モンラッシェを頂点として、ピュリニー・モンラッシェ村とシャサーニュ・モンラッシェ村には、他にモンラッシェを冠する4つのグラン・クリュ(特級畑)が存在。
これら4つのグラン・クリュは、モンラッシェを取り囲むように位置し、その味わいは、モンラッシェと共通点がありながらも、それぞれ異なる個性を持っています。

モンラッシェ(Montrachet)
「白ワインの王様」と謳われる最高峰。モンラッシェが価値を持つ大元の理由ともいうべき偉大なグラン・クリュです。
バタール・モンラッシェ(Batard-Montrachet)
標高が低い丘の麓に位置し、粘土質の土壌を持つグラン・クリュ。ふくよかで重みのある果実味が特徴的。
シュヴァリエ・モンラッシェ(Chevalier-Montrachet)
石が多い土壌を持ち、鋭く硬質な印象のミネラル豊富な味わい。
ビアンヴニュ・バタール・モンラッシェ(Bienvenues-Batard-Montrachet)
繊細でエレガントな柔らかさのある味わい。軽やかで熟成も早め。生産本数が少ない希少なグラン・クリュ。
クリオ・バタール・モンラッシェ(Criots-Batard-Montrachet)
モンラッシェの名を冠するグラン・クリュの中でも最小の畑。日当たりがよく、ミネラリーで芳醇な香りが特徴的。

もう迷わない!モンラッシェ

まとめると、「モンラッシェ」とだけ言ったとき、ワインの名前を指す場合もあれば、村や畑を指す場合、はたまたワインや村の名前の一部を指す場合もある、ということになっているわけです。
これが、モンラッシェについてよく知らない方に立ちはだかる最初の難関。
ざっくりとした説明になりましたが、ご理解いただけましたでしょうか。

ですので、「白ワインの王様」と謳われるのは、グラン・クリュのモンラッシェのみなのでご注意を!

豆知識|ワインのラベルはどう見ればいいの?

続いて確認しておきたいのは「銘醸地の名前は、どのようにワインのラベルに記載されているのか?」です。
実際に見てみましょう。

(※こちらは、ブルゴーニュ地方のグラン・クリュ(特級畑)ボンヌ・マールで、ルイ・ジャドという生産者によって造られたワインのラベルです。)

エチケットに書かれている内容についてもっと詳しく
1. ワイン名
ボルドーではシャトー名、ブルゴーニュでは村名や畑名などのAOC、他はブランド名のことが多い
2. 産地
フランス、イタリア、日本などの国名や、地域名
3. 生産者名
「Chateau~」「Domaine~」と付いていることが多い
4. 格付け
ブルゴーニュは「Grand Cru」など畑の格付け、イタリアはDOCGなどの格付けが示されている
5. 生産年(ヴィンテージと呼びます)
6. アルコール度数
7. 容量
8. 元詰め先
「Mis en Bouteille〜」と示されていることが多い
9. 葡萄品種
フランスワインやイタリアワインなど、古くからワイン造りが行われている旧世界のワインには、ほとんど葡萄品種が書かれていません。
これは法律で、使用する葡萄品種や使用比率が地域や銘柄によって定められていることが多く、あえて記載する必要がなかったり、年によって変わるブレンド比率を毎年記載することが難しかったりするためです。
対してアメリカやチリなど、新世界は単一品種でのワイン造りがメジャーであるため、葡萄品種名がそのままワイン名になっていることも多いです。

フランスには、ワインの法律があり、細かく様々なことが規定されています。
その中には、美味しいワインを産する地域のブランドを守るためのルールがあり、これを「原産地名称保護制度」と言います。

例えば、日本でもよく知られる「シャンパーニュ」は、スパーリングワインの名称のひとつ。
そして現在では、この名前はフランス・シャンパーニュ地方で、様々な基準を満たして造られたスパーリングワインしか名乗ることができません。
「シャンパーニュ」を筆頭に、「モンラッシェ」や「シャブリ」、「ムルソー」といった名前は、すべてこのような過程で、価値ある銘醸地の名前がワインの種類のように使われているものです。
あまりワインに詳しくない方も、これらの名称を1度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

【ワインコラム】「原産地名称保護制度」が誕生した理由
「原産地名称保護制度」が誕生した1930年代、世界中で、フランス産ワインではないのに「フランスの銘醸地」を名前にしたワインが販売されていました。
ワインに詳しくない方の中には、「スパーリングワイン=シャンパン(シャンパーニュ)」と理解している方もいらっしゃいますよね。
例えば、この頃日本で人気のスペイン産スパーリングワインのカヴァも「スペインのシャンパーニュ」として売られていた時代があります。
なぜこのようなことが起こったかについて、ざっくりと理由を説明するなら、「シャンパーニュ」という名前が有名で、その名前をつければ簡単にどんなものなのかを説明することができ、信頼を得ることができ、高く売れるからです。
当然、このことによってフランスのワイン生産者は大きな打撃を受けました。
フランスの産地の名前を使って、品質の低いワインが大量に出回ってしまっていたため、フランスワインの売れ行きに悪影響があるだけでなく、「フランスワインは思っていたより品質が低い」という誤った印象を抱かれかねない事態。
これを重く見て、フランスの銘醸地の名前をブランドとして守っていくために誕生したのが「原産地名称保護制度」というわけです。

モンラッシェを代表する優良生産者3選

さてここからは、ちょっと混乱しがちな「モンラッシェ」のなかでも「白ワインの王様」と称される最高峰の白ワインについて、詳しくお伝えしていこうと思います。
ご紹介するのは、銘醸地モンラッシェを代表する造り手とその代表作。
モンラッシェを愉しむなら、ぜひ知っておきたい生産者ですので、ぜひ参考にしてみてください。

ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ(DRC)

世界中の愛好家が追い求める生産者、ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ(DRC)。
市場価格300万円前後という世界で最も高価な赤ワイン、ロマネ・コンティで知られるDRCですが、モンラッシェも少量ながら生産しています。

ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ モンラッシェ


樹齢60年以上の古樹から収穫されるブドウで、年間生産量はわずか3000本程度しかない至宝。
一生に一度でいいから味わってみたい白ワインの頂点です。
参考価格:¥1680,000~(税抜)

コント・ラフォン(Comtes Lafon)

コント・ラフォンといえば、ムルソー(モンラッシェと同じくブルゴーニュの代表的白ワイン)の巨人として有名ですが、実はモンラッシェの畑も所有しています。

モンラッシェ グラン・クリュ


生産本数わずか1500本という超希少な白ワイン。
年を追うごとに価格は高騰し、マニア垂涎の1本と言えます。
参考価格:¥286,000~(税込)

エティエンヌ・ソゼ(Etienne Sauzet)

ピュリニー・モンラッシェ最高峰と謳われる造り手、エティエンヌ・ソゼ。
世界中のブルゴーニュラヴァーにこよなく愛される名ドメーヌ。
グラン・クリュのワインは生産本数が非常に少なく、世界中の星付きレストランがこぞって探し求める希少なワインです。

モンラッシェ グラン・クリュ


エティエンヌ・ソゼのトップワインにして、モンラッシェの中でも最上の賛辞を得るワイン。
シャープな酸に豊かなミネラル、気品あふれるスタイルで、世界最高峰の名にふさわしい味わい。

参考価格:¥168,000~(税込)

シェヴァリエ・モンラッシェ グラン・クリュ


「騎士」(=シュヴァリエ)の名を持つこのワインは、モンラッシェの上部に位置しヴィンテージや生産者によっては、モンラッシェに匹敵するとも言われています。硬質なミネラルを持ち、深遠かつエレガントなワインです。
参考価格:¥107,800円~(税込)

一生に一度は世界最高峰の白ワイン「モンラッシェ」を!

モンラッシェの最高級品は、世界のトップ評論家もなかなか試飲できる機会がないと言われる超希少品です。
「白ワインの王様」を口にするのは、愛好家のでもあります。

ここまででモンラッシェを実際に飲んでみたい、と思っていただけたなら、比較的リーズナブルなピュリニー・モンラッシェシャサーニュ・モンラッシェといった「村名」のワインも候補に入れて、予算に合うものを探してみてください。
みなさんのワインライフがより一層輝きますように!