普段あまりワインに馴染みのない方でも、「シャブリ」というワインの名前を耳にしたことがあるのではないでしょうか。
辛口白ワインの代名詞として世界中で親しまれており、日本でもっとも有名な白ワインと言っても過言ではありません。
白ワインの代表格とも言えるシャブリですが、「実際どのようなワインなのかよくわからない」といった声も。
この記事では、「そもそもシャブリとは?」という疑問にお答えしつつ、シャブリの味わいや特徴、料理との相性、おすすめ生産者のシャブリまでをご紹介いたします。
シャブリは「シャブリ地区」で造られる白ワイン
シャブリとは、フランスのもっとも有名な銘醸地の1つであるブルゴーニュ地方の「シャブリ地区」で生産される白ワインのこと。
ワイン法により、フランスではワインの名称は、生産される地区や村、畑の名前を、そのままワイン名として適用されます。
シャブリ地区は、銘醸地ブルゴーニュの中でもっとも北部に位置し、とても冷涼な気候が特徴です。
栽培されているブドウ品種は、シャルドネ。
シャルドネは、土地の個性を反映しやすい品種で、シャブリ地区では涼しい気候がもたらす生き生きとした酸味とミネラル感あふれるブドウが育ちます。
特徴的な土壌
画像出典:※Instagram @williamfevre_chablis さんより
シャブリ地区のもう1つの特徴は、「キンメリジャン」と呼ばれる土壌です。
かつてこの地区は海の底だったと言われ、土壌は石灰質や粘土、牡蠣などの貝殻の化石を多く含み、ワインに豊富なミネラルを付与します。
このキンメリジャンは、シャンパーニュ地方でも見られる土壌で、約1億5千5百万年前のジュラ紀まで遡る地層に由来。
この特徴的な成分と、冷涼な気候で育ったシャルドネが合わさることで、シャブリの個性とされる、ミネラル豊かでシャープな酸をもった辛口のワインが生まれます。
シャブリ4つの格付け
シャブリ地区の畑は、4つの格付け(ランク)に分かれており、最も優れたものから順に、シャブリ グラン・クリュ(特級畑)、シャブリ プルミエ・クリュ(1級畑)、シャブリ、プティ・シャブリと制定されています。
✓シャブリ グラン・クリュ Chablis Grand Cru
シャブリ地区には、8つのグラン・クリュ(特級畑)がありますが、面積は全体のわずが2%に過ぎず、とても希少です。
これらの畑は地区の中でも、もっとも日当たりのよい場所にあり、非常に繊細な酸とミネラルで、一般的なシャブリのイメージを覆すほどのワインが生まれます。
10年以上の熟成にも耐え、ブルゴーニュ地方の中でも最上の白ワインとされています。
✓シャブリ プルミエ・クリュ Chablis Premier Cru
プルミエ・クリュ(1級畑)には、40もの区画があり、非常に個性豊かなシャブリが生産されています。
グラン・クリュと同様デリケートな仕上がりで、ワイン単体としても愉しめる優れた品質を備えたワインです。
✓シャブリ Chablis
多くの方がイメージされるシャブリが、こちらに当たります。
シャブリ地区の生産量の約60~70%前後を占め、もっともスタンダードなもの。
溌溂とした酸が、牡蠣などにもよく合いますが、豊富なミネラル感も相まって和食との相性にも優れています。
✓プティ・シャブリ Petit Chablis
手軽に楽しめる、もっともカジュアルなシャブリ。
コストパフォーマンスのよいアイテムも多く、食卓やパーティーなどで活躍する万能選手です。
シャブリはどんな料理と相性がよい?
画像出典:※Instagram @williamfevre_chablis さんより
シャブリと料理との組合せは、先ほどの格付けによって内容が変わってきます。。
「シャブリといえば牡蠣」というくらい定着している組合せがありますね。
これには、酸の強めなプティ・シャブリやシャブリがよいでしょう。
レモンをキュッと絞って食べることが多いかと思いますので、ある程度酸味の強いフレッシュなものがぴったりです。
グラン・クリュやプルミエ・クリュといった上級のシャブリなら、バターでしっとりとソテーした白身魚のムニエルなどのリッチな料理が最適。
また、酸とミネラルがとてもデリケートな造りなので、懐石や天ぷらといった和食との相性も抜群です。
代表的な生産者からおすすめ6選をご紹介
シャブリと言っても数多くの生産者がおり、どれを選べばいいかよくわからないという方が多いのではないでしょうか。
ここでは、シャブリでおすすめの優良生産者をピックアップし、代表的なアイテムをご紹介いたします。
シャブリ2大生産者
まず、シャブリでもっとも偉大な生産者と言われる生産者2人をご紹介。
フランソワ・ラヴノーとヴァンサン・ドーヴィサという生産者で、彼らの造るワインは、シャブリという枠に収まらず、世界最高峰の白ワインとして愛好家垂涎の的とされています。
特に、ラヴノーのワインは価格の高騰が続いており、シャブリの中でも飛びぬけた値段に。
ですので、こちらは参考程度にご覧いただければと思います。
Chablis Grand Cru Blanchot 2018
シャブリ グラン・クリュ ブランショ 2018
生産者:フランソワ・ラヴノー Francois Raveneau
生産地:フランス / ブルゴーニュ / シャブリ
品種:シャルドネ 100%
シャブリにとどまらず、世界中のブルゴーニュ愛好家憧れの生産者、フランソワ・ラヴノー。
古典的なスタイルながら、多くのファンを魅了し続けています。
非常に高価格帯ですが、一度飲めば本物のシャブリとはどのようなものかがわかる、偉大なワインです。
Chablis 1er Cru Vaillons 2019
シャブリ プルミエ・クリュ ヴァイヨン 2019
生産者:ヴァンサン・ドーヴィサ Vinvcent Dauvissat
生産地:フランス / ブルゴーニュ / シャブリ
品種:シャルドネ 100%
フランソワ・ラヴノーと並び、シャブリでもっとも偉大な生産者とされる、ヴァンサン・ドーヴィサ。
クラシカルなスタイルですが、有機農法をいち早く取り入れきた先駆的な造り手です。
このプルミエ・クリュのヴァイヨンは、均整のとれたワインを生み出す畑。
高樹齢のブドウから造られ、複雑味、長い余韻ともに最上のシャブリです。
おすすめ優良生産者4選
続いては、コストパフォーマンスのよいプティ・シャブリから、著名ドメーヌ(生産者)のグラン・クリュまで4アイテムをご紹介いたします。
普段の食卓や、ちょっとした記念日などに彩を添える名脇役になる生産者のシャブリですので、ぜひお好みのアイテムを見つけてください。
Petit Chablis 2018
プティ・シャブリ 2018
生産者:ジャン・マルク・ブロカール Jean Marc Brocard
生産地:フランス / ブルゴーニュ / シャブリ
品種:シャルドネ 100%
ブルゴーニュで400年ほどの歴史を持つブロカール家。
シャブリ地区でワインの生産を始めて約50年程と、由緒あるドメーヌです。
農薬などの薬品を排し、自然環境を重視したワイン造りを行っています。
並外れた品質ながら、非常にコストパフォーマンスに優れたワインです。
Chablos 2019
シャブリ 2019
生産者:モロー・ノーデ Moreau Naudet
生産地:フランス / ブルゴーニュ / シャブリ
品種:シャルドネ 100%
シャブリでもっとも偉大な生産者の1人である、上記のヴァンサン・ドーヴィサと交流が深く、ワインのスタイルにも強い影響を受けている、モロー・ノーデ。
農薬や化学薬品に頼らず、極力自然な環境でワインを生産しています。
畑には樹齢の高いブドウ樹が多く、古樹らしいミネラル感あふれる凝縮したワインが魅力です。
Chablis 1er Cru Fourchaumes V.V. 2018
シャブリ プルミエ・クリュ フルショーム
ヴィエイユ・ヴィーニュ 2018
生産者:ドメーヌ・ラロッシュ Domaine Laroche
生産地:フランス / ブルゴーニュ / シャブリ
品種:シャルドネ 100%
シャブリ地区に広大な畑を所有し、もっとも歴史あるドメーヌの1つである、ラロッシュ。
伝統的な手法と現代の技術をうまく組み合わせて、高品質なのシャブリを生み出しています。
世界トップクラスのレストランやエアラインにも採用されており、贈答などにも最適なワインです。
Chablis Grand Cru Les Clos 2018
シャブリ グラン・クリュ レ・クロ 2018
生産者:ウィリアム・フェーヴル William Fevre
生産地:フランス / ブルゴーニュ / シャブリ
品種:シャルドネ 100%
シャブリを代表するドメーヌ、ウィリアム・フェーヴル。
フランスでもっとも有名なワイン評価紙の1つである「クラスマン」で、最高評価である三ツ星を獲得しています。
このレ・クロは、シャブリ グラン・クリュの中でも最良の畑とされ、他のグラン・クリュの長所を集めたような味わいが特徴。
調和のとれた酸とミネラルのバランスが美しいワインです。
終わりに
世界でもっとも有名な白ワインと言って過言ではないシャブリ。
そんなシャブリの産地や味わいの特徴、おすすめの生産者までを解説してまいりました。
シャブリにもさまざまな種類があり、生産者によっても個性は多種多様です。
日本人にとっても馴染みのあるワインですので、ぜひ味わってみてその奥深い魅力を感じていただけましたら幸いです。