デザートワインの一つに、アイスワインというものがあります。

氷結したブドウから造られるアイスワインは、ただ甘いだけでなく、フレッシュな酸と果実味が特徴です。
生産量も限られ希少なワインですが、まったくの偶然から生まれたと言われています。

この記事では、アイスワインの歴史や特殊な製造法、おすすめのアイテムまでご紹介いたします。

アイスワインとは?その歴史と主要産地

アイスワインとは、樹になったままのブドウを氷結した状態で収穫し、そのブドウ果汁を絞って造る甘口のデザートワインのこと。
凍ったブドウからは、わずかな果汁しか得られず、たいへん希少なワインです。
主に、ドイツオーストリアカナダの3ヶ国で生産されています。

偶然の産物?アイスワインの歴史

アイスワインの歴史は、今から約200年以上前前まで遡ります。
その年の冬、ドイツのフランコニアという地方で、ブドウ畑が思いもよらない霜に襲われ、収穫前の完熟したブドウが凍ってしまう事態に見舞われました。

通常なら、氷結しまったブドウは処分してしましますが、捨てるの惜しくなり、そのままワインを造りました。
するとどうしたことか、芳醇な香りで非常に甘いワインができあがったのです。
まさに偶然の産物であったアイスワインですが、その評判は知れ渡ることになり、希少品として製造されるようになりました。
そして、第二次世界大戦後の1960年代以降、ドイツのアイスワインは、本格的に産業化されることになります。

1960~70年代の高度経済成長期に起こった甘口ワインブームのおかげもあり、アイスワインの生産量は増大。
ドイツの生産者たちは、より安定した生産地を求めてカナダへと移住しました。
1980年以降、カナダでもアイスワインの生産が始まり、現在の礎を築いたのです。

アイスワインの主要産地

アイスワインが生産されている主要な産地は、カナダ、ドイツ、オーストリアの3ヶ国。
ここでは、メインとなるカナダドイツについて、使用されるブドウ品種もあわせて詳しく説明していきます。

カナダ

現在、カナダは、ワインワインの生産量が世界一国際市場の中心地となっています。

カナダにおける主要産地は、カナダ南東部、アメリカ合衆国との国境にあるナイアガラの滝で有名なオンタリオ州。
カナダ東部は寒冷な気候ですが、オンタリオ州のエリー湖やオンタリオ湖等の大きな湖が大陸性気候による夏の暑さや冬の厳しい寒さを和らげ、また湖からの風の流れでブドウが霜害から守られるため、ブドウ栽培には好条件が揃っています。
オンタリオ湖とエリー湖の間に位置にあるナイアガラ・ペニンシュラ地区が州内最大のブドウ産地であり、アイスワインの産地としても知られています。

1983年、この地域でカナダ発のアイスワインが造られました。
このアイスワインが、世界的評価を得たのをきっかけに、カナダでのアイスワイン造りが勢いを増してくことになります。

カナダでアイスワインに使用される主要なブドウ品種は、ヴィダルです。
果皮が厚く、高い酸度や果実味が特徴。
茎が強く寒さに強いため、アイスワインに非常に適したブドウ品種です。
近年では、リースリングカベルネ・フランからもアイスワインが造られています。

ドイツ

ドイツがブドウ栽培の北限と言われており、その厳寒の気候の中でアイスワインが生まれました。

※温暖化の影響で現在はイギリスが北限と言われています。

ドイツにおけるアイスワインは、ワイン法で定められたプレディカーツヴァインという格付け内の等級の一つに位置付けられています。
収穫時、糖度によって6段階に分類されますが、アイスワインは上位に位置付けられ、希少で高級なデザートワインとして世界的に認識されるようになりました。

ドイツにおける主要品種は、国内最大の栽培面積を誇るリースリング
耐寒性に優れたリースリングから造られるアイスワインは、フローラルの香りと、豊かな甘みを整える鋭い酸が特徴です。
加えて、硬質なミネラル感があり、優れたバランスの甘口ワインが生まれます。

また、ドイツのアイスワインは最低アルコール度数5.5%と規定されており、他国に比べてアルコール度数が低いのも特徴です。

アイスワインの製法

凍ったブドウを使用して造られるアイスワイン。
ですが、ただ凍っていればよいわけではなく、ワイン法による厳しいルールがあり、生産量にも限りがあります。
希少と言われるアイスワインのできるまでを、詳しく見ていきましょう。

アイスワインができるまで

アイスワインを造る上で、もっとも重要なポイントは気温です。
ブドウ樹になったまま氷結したブドウを使用しますが、収穫時の気温に厳しい規定があります。
国によって微妙に違いがありますが、外気温がマイナス7~8℃以下の環境で収穫しなければアイスワインとは認められません。
カナダではさらに厳しく、マイナス8℃以下の日が3日以上続いてから収穫しなければならないというルールまであります。
できあがるワインは、いきいきとした酸味とフレッシュでピュアな果実味が特徴です。

貴腐ワインとの違い
貴腐ワインは、ブドウに付着した貴腐菌の作用によって、ブドウ内の水分が蒸発し、果汁が凝縮。
結果、濃縮した果汁から造られたワインは、非常に糖度が高い極甘口のものになります。
貴腐菌の影響もあり、香りは複雑になり、味わいもハチミツのような甘さが特徴です。

氷結したブドウ内の水分は凍っていますが、その他のエキス分は凍っていないため、プレスして絞ると非常に凝縮した糖度の高い果汁が得られます。
そのため、ブドウ一房から得られる果汁は、わずかスプーン1杯程度と極めて少量。

加えて、通常のワインに使用されるブドウが9~10月に収穫されるのに対し、アイスワインの場合は、12月から翌2月頃。
収穫時に規定の気温まで下がる保証もなく、霜による冷害も考慮すると、生産者にとっては非常にリスクの高いものです。
こうした希少性や自然条件に依るところが大きいため、アイスワインはとても高価なものになります。

人工的な製法

自然条件に大きく左右されるアイスワイン造りですが、人口的に製造する方法も生み出されています。
クリオ・エクストラクション (Cryo-Extraction) と呼ばれ、通常の状態で収穫したブドウを、人工的に-7℃以下で凍らせて甘口のワインを造る方法です。
日本のワイナリーでもこの手法を用いて、ワインを製造しているところがり、アイスワインよりも安く入手できます。

アイスワインの楽しみ方

アイスワインを楽しむ上でのポイントは、温度です。

いきいきとした酸味とフレッシュでピュアな果実味が、アイスワインの特徴。
あまり温度が高すぎると、せっかくの甘さや酸がだれてしまってアイスワイン本来の魅力が半減してしまします。
かといって冷やしすぎても肝心の香りが立ってこないので、6~8℃くらいが丁度良いでしょう。
使用するグラスは、やや大ぶりなもののほうが、たっぷりと香りを楽しめますので、オススメです。

アイスワイン単体でもデザートととして十分に楽しめますが、一緒に合わせるスイーツがあればより豊かな時間が楽しむことができます。
イチジクアプリコットなど酸味が強すぎないフレッシュフルーツや、フルーツを使用したタルト、ケーキは、アイスワインの素晴らしいお供になるでしょう。

もしくは、白カビチーズや塩気のあるブルーチーズも、おつまみとしてとても相性がよいです。

おすすめ3アイテムのご紹介

ここでご紹介する商品は、すべてハーフ・サイズです。

アイスワイン専門のワイナリー
The Ice House Winary /Northern Ice Vidal Icewine 2018
ザ・アイス・ハウス・ワイナリー ノーザン・アイス・ヴィダル アイスワイン 2018

¥4,576 (税込)/375ml 

生産地:カナダ / オンタリオ州
品種:ヴィダル・ブラン100%

世界で最も有名なアイスワインの造り手、ジェイミー・マクファーレン渾身のブランドである、ザ・アイス・ハウス・ワイナリー。

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カナダの先駆者が手掛けるフラッグシップ
Inniskillin Icewine Gold Vidal 
 イニスキリン アイスワイン ゴールド・ヴィダル 2017

¥11,000 (税込)/375ml 

生産地:カナダ / オンタリオ州
品種:ヴィダル・ブラン100%

イニスキリンは、オンタリオ州ナイアガラ・オン・ザ・レイクにあるカナダのワイナリー。
ドナルド・ジラルド氏とカール・カイザー氏によって1974年に設立。
現代のカナダのワイン産業において、重要な先駆的な役割を果たしてきました。

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ピノ・ノワールから造られるロゼ・アイスヴァイン
Weinkellerei Klostor GmbH Eleganz Rheinhessen Rose Eiswein2016 
クロスター醸造所 エレガンツ ラインヘッセン ロゼ アイスヴァイン 2016

¥3,544 (税込)/375ml 

生産地:ドイツ / ラインヘッセン
品種:ピノ・ノワール100%

クロスター醸造所は、ファルツ中心に近い7つの村が集まり誕生した協同組合です。
優秀な醸造責任者を起用し、生産者元詰めで行われるコストパフォーマンスの高いワインが特徴。
こちらは、ピノ・ノワール100%から造られる珍しいアイスヴァインです。

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ここまで、アイスワインの歴史や主要産地、楽しみ方まで見てきましたが、いかがでしたでしょうか?

アイスワインは、普段なかなか試すことのないタイプのワインかもしれませんが、その味わいは格別です。
通常のワインと比べるとややお値段が張りますが、ぜひ一度お試しいただければと思います。