世界中のワイン愛好家を魅了するシャトー・ペトリュス
生産本数も非常に限られ、多くのワインコレクターたちがこぞって探し求めるため、あっという間に市場から消えてしまいます。

加えて、ワイン専門誌やジャーナリストたちからは、常に最高評価に近いものが与えられており、ペトリュスの存在は「神格化」されていると言っても過言ではありません。

この記事では、ボルドーにとどまらず、世界最高峰と言われるシャトー・ペトリュスの産地や歴史、その特徴を詳しくご紹介いたします。

シャトー・ペトリュスとは?

シャトー・ペトリュスとは、ボルドー地方のポムロールという地区で生産される、非常に希少なワイン。
わずか11.5haの畑から生み出されるメルロー100%のワインは、年間わずか4,500ケース(54,000本)ほどで、リリース直後に即完売してしまうことも。

ボルドー格付けシャトーの畑の規模は平均約50ha、生産本数は約30万本ということを考えると、いかに希少かお分かりいただけると思います。
世界中のワイン愛好家が追い求める幻のワインとも呼ばれ、流通価格も数十万円は下りません。

何がそこまで愛好家たちを惹きつけるのでしょうか?
希少性もありますが、その答えはペトリュスの持つ唯一無二の味わいです。

よく、ペトリュスは「完全な球体」と例えられます。
ワインには、酸味や渋み、果実味といったいくつかの要素がありますが、ペトリュスの味わいは、それらの要素が完璧なバランスで保たれているのです。
実際に試飲した際の印象は、「これが同じワインなのか」という衝撃です。
口に含んだ瞬間、今まで感じたことのない、あらゆる要素が渾然一体となった液体を経験することになります。

唯一無二の体験を求めて、毎年、熱狂的な愛好家たちはシャトー・ペトリュスを追い求めるのです。

ポムロール|ペトリュスが生まれる地

シャトー・ペトリュスが生まれるのは、ボルドー地方のポムロール地区
ボルドー地方では、大西洋に流れ込むジロンド川を境に、東側を右岸、西側を左岸と呼び、ポムロールは右岸に位置します。

ワイン産地としては比較的歴史は浅く、小規模の生産者が多いのが特徴です。
ボルドーの主要産地であるメドックのような格付けはありませんが、ペトリュスをはじめとする非常に高品質なワインが数多く生産され、世界的にも注目されています。

ブドウ畑

気候は、ボルドーのほかの地区と同じく海洋性気候で、夏は暑く冬の冷え込みも穏やかですが、風が強く、雨が多いのが特徴です。
また、粘土質を多く含む土壌が特徴で、その下の層には、クラス・ド・フェール(鉄の垢)と呼ばれる鉄の酸化物があり、この成分ができるワインに厚み(ボディ)を与えると言われています。

主要なブドウ品種はメルローを中心に、カベルネ・フランが栽培されています。
メルローは粘土質の土壌に適しており、また、早熟であることから、収穫期に雨の降ることが多いこの地区に適した品種なのです。

ペトリュスの軌跡
マダム・ルーバからムエックスへ

シャトー・ペトリュスの歴史を紐解くと、二人の人物が浮かび上がってきます。
まず一人目は、レストランを経営していたマダム・ルーバ
ペトリュスの可能性に注目し、持ち前の行動力でその知名度を世界に広げました。

そして、ペトリュスを現在の地位まで押し上げたクリスチャン・ムエックス
大胆な手法で、ワインの品質を大幅に向上させ、現在の地位の礎を築きました。

それでは、さっそく二人の足跡を見ていきましょう。

ペトリュスを見出したマダム・ルーバ

女性とブドウ畑

シャトー・ペトリュスの歴史は、マダム・ルーバという一人の女性から始まります。

ペトリュスの持つポテンシャルを見出した彼女は、当時のオーナーであったアルノー家から株式の取得と開始。
そして、最終的にはシャトー・ペトリュスを単独所有するに至ります。

ペトリュスの潜在的な価値を信じ、マダム・ルーバは、ワインの品質向上に腐心。
価格も当時のメドック格付けの第1級並みで販売し、決して安売りをしようとはしませんでした。
彼女の熱意を感じさせるエピソードとして、1956年、ボルドーを襲った大冷害の際、周囲の生産者がこぞってブドウ樹を中、生き残っている株を探し出させ、新しく接ぎ木し守ったと言われています。

ブドウ

当時のワイン関係者たちからは、冷ややかな扱いを受けたマダム・ルーバでしたが、ペトリュスの良さを伝えるためフランス内外へ赴き、イギリスやアメリカへの販路を見出します。
そしてイギリスの皇室や、アメリカではケネディーロックフェラーといった名家から贔屓にされるようになり、次第にその地位を確立していきました。

1947年から、ワインの販売をジャン・ピエール・ムエックス社に依頼し始め、1949年からは全ての販売を委託することになります。
マダム・ルーバの死後、親族が運営した時期もありましたが、ジャン・ピエール・ムエックス社へと引き継がれました。

ペトリュスを覚醒させた
クリスチャン・ムエックス

現在のペトリュスのスタイルを築き上げたのは、ジャン・ピエール・ムエックス社のクリスチャン・ムエックスです。
彼は、カリフォルニアでワイン醸造を修めたのち、1970年に父のジャン・ピエール・ムエックス社に合流し、運営を任されます。
クリスチャンのワイン造りに対する熱量はすさまじく、ペトリュスの畑の持つポテンシャルを最大限まで引き出すため、非常に革新的な試みを行いました。

1973年、世界で初めてグリーンハーヴェストを導入したことにより、ワインの質は劇的に向上。
農作物であるブドウを捨てることに、周囲の生産者から非難されることもあったそうですが、彼は信念を貫きました。
※グリーンハーベストとは、良質なブドウの房に栄養を集中させるために、不要な房を間引いて収量を減らす手法。

濡れた葉

また、雨の多かった1987年には、ブドウ畑の上にヘリコプターを飛ばし、ブドウに付着した水分を飛ばしたり、大量の雨の降った1992年には、畑にビニールシートを敷いて、過剰な水分が染みこまないようにするなど、常識では考えられないようなエピソードが残っています。

品質向上のためには手段を択ばないクリスチャンの姿勢が、現在の名声を築き、世界中のワイン愛好家を虜にしているのです。

シャトー・ペトリュス

こちらでは、正規代理店としてシャトー・ペトリュスを輸入・販売されているエノテカオンライン様をご紹介いたします。
瞬く間に完売してしまう希少品ですので、メールマガジンを購読するなど、常にアンテナを張っておくことが重要です。

その他オンラインショップなどでも販売されていますが、多くは平行輸入品のため、取り扱われているヴィンテージはまちまちで、販売価格もマーケットプライス(時価)となります。
また、これだけの希少品であり、価格も高騰の一途を辿っておりますので、フェイク(偽造品)の存在にも注意する必要があるでしょう。

愛好家たちが追い求める
Chateau Petrus 2018
シャトー・ペトリュス 2018

¥550,000 (税込)/750ml 

生産地:フランス / ボルドー / ポムロール
品種:メルロー 100%

2018年のペトリュスは、主要ワイン専門誌であるワイン・アドヴォケイト、ジェームス・サックリング、ヴィノスの3誌で100点を獲得した類まれなヴィンテージ。
クリスチャン・ムエックス自身も、「2018年は、私自身のキャリアの中で“ベストヴィンテージ”。若くして愉しむことができるのはもちろん、熟成のポテンシャルは永遠でしょう。」と大絶賛しています。

購入はこちらから

終わりに

いかがでしたでしょうか?

その希少性と唯一無二の味わいから、世界中で争奪戦となるシャトー・ペトリュス
ワイン1本の値段としては飛びぬけて高価で、実際に味わう機会はなかなかないかもしれません。
ですが、もしそのチャンスに恵まれたとしたら、あなたのワイン観が間違いなくガラリと変わることでしょう。