マデイラワインは、ポルトガルの南西部、大西洋の沖に浮かぶマデイラ島で造られています。

後ほど詳しくご説明しますが、マデイラワインは、ブランデーを添加することによって保存性を高めた、酒精強化ワインと呼ばれるワインです。
この特殊な製法のおかげで、マデイラワインの寿命は100年以上とも言われ、実際200年近く前に造られたものが、現在でも美味しく飲むことができる不思議なワインです。
また、使用されるブドウ品種によって白ワイン赤ワインもありますし、辛口~甘口まで幅広く造られています。

この記事では、マデイラワインの基本歴史多種多様なタイプを解説していきたいと思います。

マデイラワインを知る

ここでは、酒精強化ワインの詳細と、マデイラワインが生まれた経緯について簡単に触れていきたいと思います。

そもそも酒精強化ワインとは?

酒精強化ワインとは、醸造の過程でブランデーを添加することによって、アルコール度数を高めたワインのこと。
ワインの酸化を防ぎ、保存性を高める効果があります。

アルコール度数は、マデイラワインの場合は、17~22度と通常のワインよりも高いのが特徴。
今回ご紹介するマデイラワインに加え、シェリー酒ポート・ワインも酒精強化ワインの仲間で、この3つは、まとめて「世界3大酒精強化ワイン」と呼ばれます。

マデイラワインは偶然生まれた

マデイラワインが誕生した背景には、17世紀の大航海時代の長い船旅があります。
マディラ島産のワインを積んだ船が、赤道付近を通過し長い航海を終えた際に、そのワインが独特な香りに変化し、美味しくなっていたことがわかりました。
本来なら熱はワインの大敵ですが、マデイラワインの場合は、偶然よい方向に働いたのです。

これをヒントに、マデイラワインを造る際に、人為的にワインを加熱する工程が生まれました

ブドウ品種と造り方

マデイラワインには、白ワインと赤ワインがあり、さらに辛口~甘口まで実に多種多様です。
品種ごとの特徴が、味わいの違いを生みだします。

ブドウ品種

マデイラワインの味わいは、ブドウ品種によって辛口~甘口まで実にさまざまで、使用されるブドウは主に下記の5品種。

ティンタ・ネグラ・モーレ
マデイラ島で主に収穫される黒ぶどう品種で、収穫量も全体の約8割。
甘口から辛口まで造られ、他の品種とのブレンドにも使用。

セルシアル
標高の高い、冷涼な地域で栽培される白ぶどう品種。
強い酸味が特徴で、辛口のマデイラ向け。

ヴェルデーリョ
マデイラ島のの涼しい北部地域で栽培される白ぶどう品種。
中辛口タイプのマデイラワイン向け。

ボアル
比較的温暖な島の南部で栽培される白ぶどう品種。
酸味と甘さのバランスが良く、中甘口のマデイラ向け。

マルヴァジア
気温の高い島の沿岸部地域で栽培される白ぶどう品種。
凝縮感があり、甘みもリッチなので、甘口のマデイラワイン向け。

テランテス
マデイラワインの中では、最高級とされる白ぶどう品種。
収穫量が少なく、繊細な味わいが特徴。

マデイラワインができるまで

酒精強化ワインのところでご説明した通り、ブドウ果汁のアルコール発酵の際にブランデーを添加し、アルコール度数を高めます。
辛口や甘口のタイプによって、添加するタイミングは異なるのが特徴。
酒精強化したのち、一定期間落ち着かせてから加熱熟成を行います。

この加熱熟成がマデイラワインを造るうえでの最大の特徴で、下記の2通りの方法あります。

カンテイロ
太陽熱を使用した天然の加熱熟成法で、30~40度の室内で大樽に入れて行われます。
熟成期間は6ヶ月から数年行われ、高級なマデイラワインに用いられる方法です。

エストゥファ
人工的な加熱装置を用いて、最高50度の温度で3ヶ月以上熟成させる方法。
多くのマデイラワインに用いられています。

熟成期間による分類

マデイラワインの熟成期間は、ワイン法で3年以上と定められていますが、熟成年数によって名称規定が細かく決められています。
熟成年数が長くなるほど、価格も高くなりますので、選ぶ際の基準になるでしょう。

フラスケイラ
いわゆるヴィンテージ・マデイラと呼ばれる同一収穫年、単一品種から造られるもの。
最低20年の樽熟成、2年の瓶熟成が必要。

コリェイタ
ブドウ品種の規定はありませんが、単一収穫年。
樽熟成は5年以上ですが、瓶熟成は必要ありません。

レゼルヴァ
熟成期間5年。

上記の3つが主要なランクですが、スペシャル(オールド)・レゼルヴァ(熟成期間10年)、エクストラ・レゼルヴァ(熟成期間15年)、ファイネスト(熟成期間3年)、レインウォーター(熟成期間3年以上)、ソレラ(複数の樽をブレンド)といった分類もあります。

マデイラワインの楽しみ方

セルシアルとヴェルデーリョなどの品種の辛口のタイプは食前酒、ボアル、マルヴァジアといった品種の甘口タイプは食後酒として飲むのが一般的です。

辛口のマデイラワインは、キリっと冷やしてそのまま飲むのもよいですが、ソーダ割にしてさっぱりと楽しむのもおすすめです。
どちらも、お食事の邪魔をせず、和・洋どちらにも合わせやすいと思います

甘口、特に熟成期間が長いマデイラワインは、ストレートで飲むのがもっともその魅力を楽しめるでしょう。
シナモンやドライフルーツのニュアンスに加え、長い余韻が食後の満足感を高めてくれます。

酒精強化や加熱熟成を経ているので、栓を開けて1ヶ月程度なら十分楽しめますので、ご家庭で気軽に試してみるのもよいと思います。

いかがでしたでしょうか。

マデイラワインの特徴や歴史、さまざまなタイプがあることを見てきました。
下記にショップのリンクがありますので、もしご興味を持たれたタイプがありましたら、ぜひトライしてみてください。

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