ペリエ・ジュエといえば、白いアネモネの花をまとったグリーンのボトルが印象的ですよね。
アール・ヌーヴォーの巨匠エミール・ガレによってデザインされたこのボトルは、アート・オブ・シャンパーニュ(シャンパーニュの芸術品)とも称されます。
世界の王侯貴族を虜にしてきたシャンパーニュは、ハリウッド女優からモナコ大公妃となり、20世紀のシンデレラとして知られるグレース・ケリーにも愛飲されました。
今回は、ペリエ・ジュエという美しいシャンパーニュが持つ魅力を深堀りしていこうと思います。
知れば知るほどペリエ・ジュエを手にしてみたくなる、そんな発見のある出会いとなりましたらこれほど嬉しいことはありません。
ペリエ・ジュエの全ラインナップもあわせてご紹介いたしますので、それでは、さっそく見ていきましょう!
※この記事は、ソムリエが監修を行っております。(最終更新日:2021/12/10)
ペリエ・ジュエってどんなメゾン?
ペリエ・ジュエは、1811年にフランス、シャンパーニュ地方エペルネで創業した200年以上の歴史を持つ老舗のシャンパーニュ・メゾンです。
創業者は、1700年代からシャンパーニュ地方でぶどう栽培をしてきたペリエ家のピエール・ニコラ・マリー・ペリエとワイン商の娘として高い教養を身につけていたアデル・ジュエ。
このふたりによって丁寧に造られたシャンパーニュは、メゾンの創業後たちまち人気を博し、高値で取引されるようになります。
ヴィンテージシャンパーニュの開発などを積極的に行い、辛口のシャンパーニュを初めて造ったとも言われる名門です。
現在も、創業者夫妻の「芸術を愛し、自由な精神を重んじる」という気風は、メゾンの信念としてしっかりと息づいています。
メゾン「ペリエ・ジュエ」による辛口シャンパーニュという革命
革新的なメゾンであるペリエ・ジュエの大きな功績として、辛口シャンパーニュへの道を拓いたことが挙げられます。
1800年代のシャンパ―ニュはボトル1本当たり200g程度の糖分を入れた甘口が主流でした。
そんな時代のさなか、1846年にペリエ・ジュエは糖分を1/10程度に減らした甘くないシャンパーニュを開発。
辛口を好むイギリス市場からの要望を受け、また、シャンパーニュを食前酒としても愉しめるようにするためでした。
これが今では主流となったブリュット(辛口シャンパーニュ)の起源とされています。
辛口シャンパーニュの開発は、シャンパーニュの楽しみ方の幅を拡げるという意味で革命的でした。
それまでシャンパーニュは、甘口のためお料理とあまり合わず、乾杯の際や食後のデザートのお供として楽しむものだったのが、お料理ともあわせられるようになったためです。
今でこそ、シャンパーニュといえば辛口、といってもいいほど一般的に愛される辛口シャンパーニュ。
甘口しかない状況で辛口を造るという大きな決断が、現在のお料理と愉しめるシャンパーニュへとつながったと考えると、その勇気に敬意と感謝を捧げたくなります。
王侯貴族をも魅了するペリエ・ジュエ
メゾンの2代目、シャルルの時代になると、ペリエ・ジュエのシャンパーニュは世界中の王侯貴族を虜にしていきます。
他のメゾンに先駆けて辛口シャンパーニュを造ったことが功を奏し、ヨーロッパの祖母とも呼ばれたイギリス王室のヴィクトリア女王に始まり、フランス皇帝ナポレオン3世、スウェーデン、ベルギーとヨーロッパ各国の王室にも愛されるようになりました。
また、モナコ大公妃グレース・ケリーがペリエ・ジュエのシャンパーニュを愛飲していたことは特に有名で、現在でも「ペリエ・ジュエ ベル・エポック」はモナコの社交界に欠かせない存在です。
2011年には、アルベール大公の結婚式でもペリエ・ジュエのシャンパーニュが選ばれています。
ペリエ・ジュエのシャンパーニュは、どんな味わい?
メゾンの象徴であり、ペリエ・ジュエの味わいを語る上で欠かせないのが、シャルドネです。
ペリエ・ジュエの自社畑65ヘクタールのうち、99%以上がグラン・クリュ(特級畑)であり、そのうちの40%に「白ワインの女王」と例えられるブドウ品種、シャルドネが植えられています。
冷涼な土地で栽培されたシャルドネは、すっきりと上品な味わいになると言われます。
そんなシャルドネの産地として特に有名なのが、冷涼で厳しい気候のフランス・シャンパーニュ地方コート・デ・ブランという地域。
この地域には、シャンパーニュ地方でもひときわ良質のシャルドネを収穫できるぶどう畑が集中しており、シャンパーニュにとっても欠かせない大切な土地です。
ペリエ・ジュエは、このコート・デ・ブランにも自社畑を持っており、生み出されるシャンパーニュは、エレガントさやフレッシュさが特徴。
ペリエ・ジュエらしさとして語られる、エレガントで繊細、白い花のような芳醇な香りがして複雑味があると言った評価から、「フルール・ド・シャンパーニュ」(シャンパーニュの華)とも呼ばれ、このシャルドネという品種の良さを引き出した結果であるといえます。
今でこそシャルドネは非常にメジャーで、白ワインやシャンパーニュに欠かせない品種ですが、実はペリエ・ジュエが使い始めるまでシャンパーニュにはあまり使われていないぶどう品種でした。
「自由な精神」で様々なチャレンジを行ってきたペリエ・ジュエらしい逸話のひとつです。
ペリエ・ジュエの代表作は白いアネモネが咲き誇る「ベル・エポック」
ボトルに描かれた特徴的な白いアネモネの花。
1902年に3代目のアンリ・ガリスがアール・ヌーヴォーの巨匠エミール・ガレに依頼し、当時流行していたジャポニズムの影響を受けて秋明菊(ジャパニーズ・アネモネ)が描かれ、現在ではメゾンのシンボルにもなっています。
(※アール・ヌーヴォーとは、花や植物をモチーフに曲線を組み合わせ、様式にとらわれない「新しい芸術」としてヨーロッパを中心に花開いた芸術運動のこと。)
第一次世界大戦の混乱の中で一度は失われたこの美しいデザインのボトル。
1964年、当時のセラーマスターであるアンドレ・パブレによって発見され、復活することとなります。
この華やかな装いが許されているのは、ペリエ・ジュエの代表作「ペリエ・ジュエ ベル・エポック コレクション」のみ。
シャルドネを主体としたプレスティージュ・キュヴェ(メゾンの最高級品)であり、繊細でありながらも奥行きのあるエレガントな味わいが特徴的なコレクションです。
ボトルの美しさ、そのクオリティの高さから、「シャンパーニュの芸術品」と呼ばれています。
「ベル・エポック(Belle Époque)」とは、フランス語で「良き時代・美しき時代」という意味の言葉。
厳密に定義されているわけではないですが、主として1800年代末から1914年(第一次大戦の勃発)までのパリが華やかに繁栄していた時代を懐古して用いられる美術用語です。
「ベル・エポック」は、ちょうどアール・ヌーヴォーがヨーロッパで大流行し、エミール・ガレによってこのボトルがデザインされた時代。
その名前から、メゾンを象徴するデザインの歴史を垣間見ることができます。
ペリエ・ジュエのラインナップ
さてここからは、ペリエ・ジュエのラインナップを見ていきましょう。
ペリエ・ジュエのラインナップは、大きく分けて2ライン。
良質なブドウが収穫された年にだけ造られるプレスティージュ・キュヴェ(メゾンの最高級品)、「ペリエ ジュエ ベル エポック コレクション」と芸術的なブレンドから生まれる「ペリエ・ジュエ クラシックライン」です。
メゾンの代表作
ペリエ・ジュエ ベル・エポック コレクション
「ペリエ・ジュエ ベル・エポック コレクション」は、アネモネの花が咲き誇るメゾンの代表作。
良いぶどうが収穫された年にだけ造られるプレスティージュキュヴェです。
PERRIER-JOUËT BELLE EPOQUE 2013
ペリエ・ジュエ ベル・エポック 2013
ペリエ・ジュエの代表作であり、最も有名な「ベル・エポック」。
グリーンのボトルに咲き誇る白いアネモネが印象的なシャンパーニュです。
白い花のような特徴的な香りに加え、白桃や洋梨、レモンのニュアンスがあります。
画像出典:※Instagram @weisshausshop さんより
色味:輝くような透明感とほのかなアップルグリーンの輝きを持つ、淡い透明感のあるゴールド。
香り:フレッシュでデリケート、白い果実と花の特徴的なアロマ。
味わい:フレッシュさと洗練の素晴らしい組み合わせ。引用元: ペリエジュエ公式サイトより
ピノ・ノワール 45%
ムニエ 5%
PERRIER-JOUËT BELLE EPOQUE ROSE 2013
ペリエ・ジュエ ベル・エポック ロゼ 2013
グレース・ケリー大公妃が愛した美しいロゼ・シャンパーニュ。
グレープフルーツのような爽やかさと、ロゼ特有の赤いフルーツの香りが華やかです。
画像出典:※Instagram @champagne_moments さんより
色味:パステル調のサーモンピンクに、明るいオレンジのハイライトが入った輝く色。
香り:イチゴとシャクヤクのアロマに、金柑と白スグリの酸味。
味わい:ピンクグレープフルーツとマンダリンの香りに、ブリオッシュの大らかさが加わります。引用元: ペリエジュエ公式サイトより
ピノ・ノワール 50%
ムニエ 5%
PERRIER-JOUËT BELLE EPOQUE BLANC DE BLANCS 2006
ペリエ・ジュエ ベル・エポック ブラン・ド・ブラン 2006
シャルドネ100%で造られる、メゾンの最高級品。
10年以上の熟成期間を経て出荷されます。
画像出典:※Instagram @theunusualwinelover さんより
色味:緑がかったきらきら輝くゴールド。非常に繊細な泡が立ち上がります。
香り:白い花のアロマに、ハチミツ、洋ナシ、パイナップル、砂糖漬けレモンの香りがほのかに漂います。
味わい:爽やかで新鮮な口当たり。 濃厚で豊かな、シルクのような長い余韻が残るエレガントな仕上がり。引用元: ペリエジュエ公式サイトより
ペリエ・ジュエ クラシックライン
ペリエ・ジュエのクラシックラインは、複数の年のワインをブレンドして造られる、メゾンの理念を体現するライン。
スタンダードラインとして手の届きやすい価格となっているのも魅力です。
まず、ペリエ・ジュエの味わいに触れてみたいという方も試しやすく、嬉しいですね。
PERRIER-JOUËT GRAND BRUT NV
ペリエ・ジュエ グラン ブリュット NV
ペリエ・ジュエ グラン ブリュットは、1846年に発表されたイギリス向けの辛口シャンパーニュ、「キュヴェK」によって始まりました。
メゾンの歴史と伝統の象徴とも言える、シャンパーニュです。
3年以上の熟成を経て出荷されます。
画像出典:※Instagram @obica_hills さんより
色味:グラスの中のシルバーゴールド。生き生きとしてスタイリッシュなキュヴェ。
香り:フローラルなアロマに新鮮なフルーツ、バター風味のブリオッシュ、バニラの香りが加わります。
味わい:爽やかで軽く、フレッシュで、余韻のあるリッチで大らか仕上がり。引用元: ペリエジュエ公式サイトより
ピノ・ノワール 40%
ムニエ 40%
PERRIER-JOUËT BLASON ROSÉ NV
ペリエ・ジュエ ブラゾン ロゼ NV
ペリエ・ジュエブラゾン ロゼは、シャルドネよりもピノ・ノワールの比率が高く、ペリエ・ジュエのラインナップのなかでは例外的なロゼ・シャンパーニュ。
芳醇で、甘く、まろやかな味わいで、余韻が長く続きます。
画像出典:※Instagram @8909945 さんより
色味:独特のサーモンピンクの色合い。
香り:完熟した赤と黒の果実の力強いアロマに、エキゾチックなザクロの香りが加わります。
味わい:豊かで生き生きとした味わいで、余韻が長く、大らかな仕上がり。引用元: ペリエジュエ公式サイトより
ピノ・ノワール 50%
ムニエ 25%
PERRIER-JOUËT BLANC DE BLANCS NV
ペリエ・ジュエ ブラン・ド・ブラン NV
ペリエ・ジュエ ブラン・ド・ブランは、シャルドネ100%で造られます。
メゾンを象徴する、シャルドネという品種の素晴らしさを体現するシャンパーニュです。
画像出典:※Instagram @vittorio_ziouva さんより
色味:緑がかった淡いゴールド、明るく生き生きとした輝きのあるシャンパーニュ。
香り:エルダーベリー、アカシア、ハニーサックルなどの生垣の花や、ピリッとした柑橘類のアロマ。
味わい:余韻に残るフレッシュさと、驚くほど滑らかでまろやかな後味。引用元: ペリエジュエ公式サイトより
華やかで印象的なボトルは、プレゼントにもぴったり!
ペリエ・ジュエは、王侯貴族に愛され、その愛らしいボトルが印象的な、華やかな場に相応しいシャンパーニュです。
ホームパーティの手土産や目にも嬉しいプレゼントとしてもぴったり。
特に、ペリエ・ジュエを楽しむためにデザインされたフルートグラスとペリエ ジュエ ベル エポックのセットは、恋人同士のお祝いやご夫婦への贈り物に最適です。
もし身の回りでお祝いがある際には、検討されてみてはいかがでしょうか。
この記事が、ペリエ・ジュエというメゾンの魅力の一端に触れる時間となっていましたなら幸いです。
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