「ロバート・パーカーって何をする人?」
「ロバート・パーカー氏が引退?」
「パーカーポイントが高いワインを知りたい!」
ロバート・M・パーカー・Jr.は、世界で最も影響力があると言われる、ワインの評論家。
パーカーポイントという100点満点の評価法を考案し、ワイン界にひとつの指標をもたらした、ワイン界の重鎮です。
今回は、そんなロバート・パーカー氏について、詳しく掘り下げていきます。
ロバート・パーカー氏のプロフィールやパーカーポイントのつけられ方などの基礎知識から、引退についてやパーカーポイントの影響力といったちょっと上級者向けの話題まで、盛りだくさんでお届けします。
知っているとワイン選びが楽しくなる情報ばかりですので、この機会にぜひおさえてみてくださいね。
「神の舌を持つ男」ロバート・M・パーカーJr.とは?
ロバート・パーカー氏は、アメリカ生まれのワイン評論家です。
近年、ワイン評価という分野において世界で最も影響力のある人物であると言われています。
皆さんも、ワインを買おうとしたときなどに「パーカーポイント(PP)」や「ワインアドヴォケイト(WA)」という言葉を目にしたことがあるのではないでしょうか?
パーカーポイントやワインアドヴォケイトでの点数は、ワインの価格さえ左右する存在です。
ワイン評論誌「ワインアドヴォケイト」の創刊者
100点満点方式でわかりやすい「パーカーポイント」によってワインを評価したロバート・パーカー氏。
彼が創刊したニュースレターの名前が、「ワインアドヴォケイト」です。
このワイン評価誌の特徴は、なんといってもスポンサーを付けずに赤裸々な評価をすること。
その独立性と、パーカー氏の正確なワイン評価で厚い信頼を得ています。
「ワインの帝王」と呼ばれたワイン評論家の半生
画期的なワイン評価軸「パーカーポイント」を考案し、世界的に信頼を集めるワイン評価誌「ワインアドヴォケイト」創刊に至った経緯とはどのようなものだったのか。
また、そのような影響力のあるワイン評論家はいかにして誕生したのか。
ここでもう少し詳しく見ていきましょう。
比類なきワイン評論家ロバート・パーカー氏のバックグラウンド
ロバート・パーカー氏は、大学生のころ、恋人を訪ねたフランスでワインに出会います。
その後、一旦は弁護士として仕事をするのですが、ワインへの情熱が捨てきれず、ワインテイスティング仲間と共にニュースレターの創刊に至るのでした。
ロバート・パーカー氏は、消費者運動家であり、欠陥車訴訟で有名なラルフ・ネーダー氏に憧れていたといいます。
ワインの世界にも、事実に基づき、権威に屈することのない、消費者目線の赤裸々な評価が必要であると考えていたのです。
当時、ワインの評価をする雑誌にはスポンサーがいるもので、政治色があることは否めず、消費者目線と言えるものではありませんでした。
そこに、100点満点で明確に評価を見える化し、スポンサーを付けずに独立性を保ち、その上、ブラインドテイスティングで先入観すら許さないという徹底した実力主義の評価制度を持ち込んだのでした。
最初は500部からスタートした彼のニュースレター「ワインアドヴォケイト」は、2012年には購読者数5万人を突破しています。
ロバート・パーカー氏の評価が信頼される理由
ロバート・パーカー氏によるワイン評価が信頼されるのは、ずば抜けた記憶力と観察力に裏打ちされたテイスティング力が信頼されているからです。
パーカー氏は、神の舌を持つ男とさえ呼ばれています。
そのテイスティング力の確かさは、10年前にたった1度飲んだことがあるというだけのワインを、ブラインドテイスティングでぴたりと当てた、という逸話があるほど。
最近のボルドーでの出来事を話してくれた。誰かが持ってきたソーテルヌを何気なく口に入れた瞬間、10年前に飲んだあるワインを思い出した。あるいは少なくとも10年前に飲んだあるワインは、今はこうだろうと思わせた。聞いてみるとまさにそのワインだったのだ。しかしこのような出来事は、彼にとっては日常茶飯事だ。
ずば抜けたテイスティング力によってはじき出される正確無比な評価だからこそ、パーカー氏のワイン評価は信頼されているのです。
【2019年5月】ロバート・パーカー氏、引退を発表
ロバート・パーカー氏は、2019年5月16日、ワインアドヴォケイト社を退社しワイン評論家を引退すると発表しました。
権威に屈しない消費者目線の赤裸々な評価、を掲げてワイン評論家となったパーカー氏は、今や、ワイン界の権威そのものと言えるほど実績を重ね、信頼を集めています。
しかし、その結果として昨今問題として取りざたされるようになっていたのが、「パーカリゼーション(パーカー化)」です。
パーカー氏の評価が良かったワインは、その価格が跳ね上がるため、パーカーポイントで高評価を得るために「国際的なスタイルの」ワインとして彼の評価に迎合するような動きがあったのです。
ワインの味わいは産地によって個性があり、多様なものであるため、本来、点数化できるものではありません。
パーカー氏の功績は、そこに「ある視点(パーカー氏の視点)からの権威に左右されない点数評価」という評価軸の設定をしたことにあります。
この評価軸に向かってワインの味わいが変化することは、当然本意ではありませんでした。
通常ヴィンテージでは10000円前後のワインの価格が、パーカーポイントで高評価を獲得した年のヴィンテージだけ4万円や5万円を超えるのも事実。
この動きに対して、ワイン界の専門家たちもそれぞれの産地の個性がなくなってしまうと懸念しています。
この流れの中でパーカー氏は、2017年に確かな知識と経験のあるメンバーによるテイスティングチームにワインアドヴォケイト誌のレビューを託し、そして2019年5月に引退を発表したのでした。
現在、パーカーポイント自体が廃止されたというわけではありませんが、多くのワイン評価において、「パーカーポイント」が「ワインアドヴォケイト」という記載に統一されつつあります。
100点満点で評価!パーカーポイントの評価法と格付け
パーカーポイントは、100点満点というそのわかりやすさで一世を風靡しました。
世界中でワインの評価軸として信頼されています。
ここでは、パーカー氏の信頼を不動のものとしたパーカーポイントについて、詳しく見ていきましょう。
パーカーポイントの評価法
パーカーポイントは、50点からスタートする加算方式の評価法をとっています。
まず、すべてのワインに基礎点となる50点が与えられ、残りの50点については、以下の基準で評価をして、その結果が加算されていきます。
【5点】ワインの色と外観
【15点】香り
【20点】味わい
【10点】熟成の可能性など、全体の質
基礎点50点と、評価によって加えられた点数の合計をパーカーポイントといい、各得点数ごとの格付けも存在しています。
パーカーポイントの真の価値はその一貫性
当初、パーカーポイントは、パーカー氏が1人でワインの評価をして点数を付けていました。
パーカー氏個人による評価ということで、「個人的な好みが反映されているのでは?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
当然その通りなのですが、パーカーポイントの意義は別のところにあります。
それは、その一貫性。
彼を中傷する人々でさえも、一度コメントしたことがあるワインを、もう一度ブラインドでコメントしたときのパーカーのコメントは一貫性があると認め、それらのコメントはどのワインに対しても同じ様に表現されるという。熟練したワインテイスターでパーカーコメントに慣れている人ならば、彼の嗜好と同じでなくても、彼のコメントに対して自分の尺度を比較することでワインを比較することが出来てしまう。
自分が飲んだことのないワインでも、パーカーポイントに照らし合わせればそのワインがどのような味わいかを想像できる。
そして、「このワインは、自分にとっては何点くらいかな?」と考える際に動かぬ指標として機能する。
これが、パーカーポイントの真の価値であると言えます。
パーカーポイント最高評価!100点満点のワイン3選
今回ご紹介するのは、パーカーポイントで100点を獲得したワイン。
辛口批評でも有名なパーカー氏が手放しで絶賛した銘品ばかりです。
今回は100点満点のワインを紹介しますが、パーカーポイントでは、85点以上を本当にいいワインとして評価しています。
ワインを選ばれるとき、ぜひ参考にしてみてくださいね。
Chapoutier Ermitage Blanc Le Meal(シャプティエ・エルミタージュ・ブラン・メアル 2015)
「テロワールの個性を写真のように写し取るワイン」をテーマとし、パーカーポイント100点の獲得回数は、2019年12月時点で50回を数えます。
そんなシャプティエ社が発表するワインの中でも、最高峰のワインを「セレクション・パーセレール」といいます。
その特徴は、樹齢の古い単一の畑から収穫したぶどうのみで醸造して造る点です。
このシャプティエ・エルミタージュ・ブラン・メアル 2015も「セレクション・パーセレール」シリーズであり、平均樹齢50年以上のマルサンヌ種100%で造られた最高級品。
幻の白ワインともいわれ、世界で流通している本数は極めて少なく、パーカーポイント100点満点を4回、準満点99点も4回獲得している銘品中の銘品です。
Torbreck RunRig Barossa Valley(トルブレック・ラン・リグ 2016)
南オーストラリア、バロッサ・バレーで、1994年からワイン造りをスタートし、現在では赤ワインの天才として世界中に知られています。
有名なワイン漫画『神の雫』にも登場している、新進気鋭のワイナリーです。
特にフラッグシップシリーズであるRunRig(ラン・リグ)は、発表したヴィンテージが軒並みパーカーポイント95点以上を獲得した逸品。
樹齢96年~158年の古樹から収穫したぶどうを使って造られるワインをぜひ味わってみてください。
Chateau Pontet Canet(シャトー・ポンテ・カネ 2010)
いち早くビオディナミ農法によるワイン造りを始めたことでも知られ、ハイパフォーマンスなワインを造るワイナリーとして有名です。
そんなワイナリーの名を冠したシャトー・ポンテ・カネは、2009年、2010年とパーカーポイント100点を連続で獲得している逸品。
パーカーポイントだけでなく、ジェームス・サックリング、ワイン・スぺクテーターでも100点を獲得するなど、高評価を得ています。
■パーカーポイント
100点
■品種
カベルネ・ソーヴィニヨン 65%
メルロ 30%
カベルネ・フラン 4%
プティ・ヴェルド 1%
■タイプ フルボディ
■度数 14.5%
パーカーポイントを目印に、ワインの世界を拡げよう!
ロバート・パーカー氏によって浸透した画期的な評価法、パーカーポイント。
現在では、パーカー氏が引退したことで、ワインアドヴォケイト(WA)という表記に統一されつつあります。
それぞれの好みもあるので、高得点のものを選べば絶対においしいワインに出会える、というわけではありません。
しかし、パーカーポイントで高得点を獲得しているワインとは、年間1万本のワインをテイスティングし、近代のワイン評価に革命を起こした偉人が評価したワインです。
ワイン選びのひとつの目安としてみてはいかがでしょうか。
皆さんのワインライフがますます充実したものとなりますように!