孤高のワイン評価誌『ワインアドヴォケイト』が多大な影響力を持つ理由と最高評価ワイン3選

「ワインアドヴォケイトって何?」
「ワインアドヴォケイトが有名になった理由を知りたい。」
「ワインアドヴォケイトで高評価のワインが飲みたい!」

ワインアドヴォケイトは、スポンサーなしの運営で赤裸々なワイン評価を行う「孤高のワイン評価誌」としてこの世に誕生しました。
ワインショップや通販サイトで、「ワインアドヴォケイト97+」など、その名前を見たことがある、という方も多いのではないでしょうか。
創刊者は、「神の舌を持つ男」や「ワインの帝王」とも呼ばれるロバート・パーカー氏です。
今回は、そんなワインアドヴォケイトについて、詳しくお伝えします。
ワインアドヴォケイト誌やパーカーポイントについて知っているとワイン選びの際に便利ですので、ぜひこの機会に知識をおさえておきましょう!

スポンサーなしのワイン評論誌「ワインアドヴォケイト」とは?

ワインアドヴォケイトとは、スポンサーを付けずに赤裸々な評価をする、独立性の高いワイン評価誌です。
1978年、事実に基づき、権威に屈することのない、消費者目線の赤裸々な評価が必要であると考えていたロバート・パーカー氏によって創刊されました。
ブラインドテイスティングを行い、先入観すら許さないという徹底した実力主義を貫いてワインを評価しています。
ワインアドヴォケイト誌の創刊当時、ワインの評価をする雑誌にはスポンサーがいるもので、政治色があることは否めず、消費者目線と言えるものではありませんでした。
そんな状況のワイン評価の世界に疑問を持ったパーカー氏は、ワインアドヴォケイト誌の創刊に当たって「パーカーポイント」という100点満点でワインを採点し、明確に評価を見える化する独自の評価制度を考案し、その状況に風穴を開けたのです。
ワインアドヴォケイト誌は、これまでパーカー氏による正確無比なワイン評価で厚い信頼を得てきました。
最初は500部からスタートした彼のニュースレター「ワインアドヴォケイト」は、2012年には購読者数5万人を突破しています。

ワインアドヴォケイトの創刊者は、神の舌を持つ男。

100点満点方式でわかりやすい「パーカーポイント」によってワインを評価したロバート・パーカー氏。
彼のワイン評価が信頼されるのは、ずば抜けた記憶力と観察力に裏打ちされたテイスティング力によるものです。
10年前にたった1度飲んだことがあるというだけのワインを、ブラインドテイスティングでぴたりと当てた、という逸話すらあります。

最近のボルドーでの出来事を話してくれた。誰かが持ってきたソーテルヌを何気なく口に入れた瞬間、10年前に飲んだあるワインを思い出した。あるいは少なくとも10年前に飲んだあるワインは、今はこうだろうと思わせた。聞いてみるとまさにそのワインだったのだ。しかしこのような出来事は、彼にとっては日常茶飯事だ。

ワインアドヴォケイトの評価方法

ワインアドヴォケイトは、パーカーポイントによってワインを評価しています。
そのため、ワインアドヴォケイトの評価とは、つまりパーカーポイントによる評価ということになります。

ここでは、パーカーポイントのつけられ方やそれによる格付けについてお話ししていきます。

※2019年5月のロバート・パーカー氏引退を期に、ワイン評価において、「パーカーポイント」が「ワインアドヴォケイト」という記載に統一されつつあります。

パーカーポイントの評価法

パーカーポイントは、50点からスタートする加算方式の評価法をとっています。
まず、すべてのワインに基礎点となる50点が与えられ、残りの50点については、以下の基準で評価をして、その結果が加算されていきます。

【5点】ワインの色と外観
【15点】香り
【20点】味わい
【10点】熟成の可能性など、全体の質

基礎点50点と、評価によって加えられた点数の合計をパーカーポイントといい、各得点数ごとの格付けも存在しています。


100-96点 特別な努力を払ってでも飲むべき、格別なワイン(Extraordinary)
95-90点 傑出した良さのある素晴らしいワイン(Outstanding)
89-80点 並から優良な出来のワインであり、欠陥は見受けられない(Above Avarage to Excellent)
79-70 並のワイン(Average)
69-60 並以下の気になる欠陥があるワイン(Below Average)

パーカーポイントの真の価値はその一貫性

ワインアドヴォケイトの評価は、今でこそ数名からなるテイスティングチームによる評価となっていますが、かつてはパーカー氏がひとりで点数をつけていました。
パーカー氏個人による評価であるなら、「個人的な好みが反映されているのでは?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
当然その通りなのですが、パーカーポイントの意義は別のところにあります。
それは、その一貫性です。

彼を中傷する人々でさえも、一度コメントしたことがあるワインを、もう一度ブラインドでコメントしたときのパーカーのコメントは一貫性があると認め、それらのコメントはどのワインに対しても同じ様に表現されるという。熟練したワインテイスターでパーカーコメントに慣れている人ならば、彼の嗜好と同じでなくても、彼のコメントに対して自分の尺度を比較することでワインを比較することが出来てしまう。

自分が飲んだことのないワインでも、パーカーポイントに照らし合わせればそのワインがどのような味わいかを想像できる。
そして、「このワインは、自分にとっては何点くらいかな?」と考える際に動かぬ指標として機能する。
これが、パーカーポイントの真の価値であると言えます。

ミシュランガイドが買収するほど。ワインアドヴォケイトの影響力とは?

ワインアドヴォケイトは、2019年11月、世界で最も影響力のあるレストランガイドとして有名なミシュランガイドに買収されています。
それは、ワインアドヴォケイトのワイン業界における類まれな影響力を見込んでのこと。
実際、通常ヴィンテージでは10000円前後のワインが、パーカーポイントで高評価を獲得した年のヴィンテージだけ4万円や5万円を超える場合も少なくありません。

2016年には、40%の出資という形ですでに関係があり、その出資の際に、現在のワインアドヴォケイト誌編集長であるリサ・ペロッティ・ブラウン氏は以下のようにコメントしています。

「ワインと料理世界の評論で、我々の抱える誠実さと厳格性という本質的な価値は著しく類似している。合併から生まれる総体的な情報はそれぞれのパーツを上回っていて、世界中の料理とワインの愛好家に素晴らしい資産を提供することはすぐに明らかになった」

また、この提携について、パーカー氏は、以下のような見解を述べています。

「長らく、評論家はワインと料理を2つの分かれた専門分野に分けてきた。だが、公平で、独立していて、偏見のない、知的な料理とワインの意見と智恵が現実的にブレンドされることによって、ワインと料理の消費者の双方に利益をもたらすだろう」

ミシュランガイドもワインアドヴォケイトも、その信頼を独立性によって得ています。
これから、この2つの美食の案内誌が、どんな進化を遂げていくのか、注目していきたいところです!

パーカーポイント100点満点!格別の評価を得ているワイン3選

今回ご紹介するのは、パーカーポイント100点を獲得している格別のワイン。
早速見ていきましょう。

Chapoutier Ermitage Blanc Le Meal(シャプティエ・エルミタージュ・ブラン・メアル 2015)

フランス、ローヌ地方 フランス、ローヌ地方
ローヌの巨匠と呼ばれるM.シャプティエ社は、200年の歴史を持つ名門ドメーヌです。
「テロワールの個性を写真のように写し取るワイン」をテーマとし、パーカーポイント100点の獲得回数は、2019年12月時点で50回を数えます。
そんなシャプティエ社が発表するワインの中でも、最高峰のワインを「セレクション・パーセレール」といいます。
その特徴は、樹齢の古い単一の畑から収穫したぶどうのみで醸造して造る点です。
このシャプティエ・エルミタージュ・ブラン・メアル 2015も「セレクション・パーセレール」シリーズであり、平均樹齢50年以上のマルサンヌ種100%で造られた最高級品。
幻の白ワインともいわれ、世界で流通している本数は極めて少なく、パーカーポイント100点満点を4回、準満点99点も4回獲得している銘品中の銘品です。

参考価格:43,780円(税込)/1本(750ml)

詳細情報

■パーカーポイント
100点
■品種
マルサンヌ 100%
■タイプ 辛口
■度数 13.5%

Torbreck RunRig Barossa Valley(トルブレック・ラン・リグ 2016)

オーストラリア、バロッサ・バレー オーストラリア、バロッサ・バレー
豪州最高峰と名高いワイナリー、Torbreck(トルブレック)。
南オーストラリア、バロッサ・バレーで、1994年からワイン造りをスタートし、現在では赤ワインの天才として世界中に知られています。
有名なワイン漫画『神の雫』にも登場している、新進気鋭のワイナリーです。
特にフラッグシップシリーズであるRunRig(ラン・リグ)は、発表したヴィンテージが軒並みパーカーポイント95点以上を獲得した逸品。
樹齢96年~158年の古樹から収穫したぶどうを使って造られるワインをぜひ味わってみてください。

参考価格:41,500円(税込)/1本(750ml)

詳細情報

■パーカーポイント
100点
■品種
シラーズ 98%
ヴィオニエ 2%
■タイプ フルボディ
■度数 15%

Chateau Pontet Canet(シャトー・ポンテ・カネ 2010)

フランス、ボルドー地方 フランス、ボルドー地方
フランス5大シャトーの一つ、シャトー・ムートン・ロートシルトのすぐそば、という極めて良い環境のぶどう畑を所有し、革新的なワイン造りが特徴的なCH. PONTET CANET(シャトー・ポンテ・カネ)。
いち早くビオディナミ農法によるワイン造りを始めたことでも知られ、ハイパフォーマンスなワインを造るワイナリーとして有名です。
そんなワイナリーの名を冠したシャトー・ポンテ・カネは、2009年、2010年とパーカーポイント100点を連続で獲得している逸品。
パーカーポイントだけでなく、ジェームス・サックリング、ワイン・スぺクテーターでも100点を獲得するなど、高評価を得ています。

参考価格:41,446円(税込)/1本(750ml)

詳細情報

■パーカーポイント
100点
■品種
カベルネ・ソーヴィニヨン 65%
メルロ 30%
カベルネ・フラン 4%
プティ・ヴェルド 1%
■タイプ フルボディ
■度数 14.5%

ワイン初心者こそ、ワインアドヴォケイトを上手に活用しよう!

ここまで見てきてわかる通り、ワインアドヴォケイトは、おいしいワインを求める人にとってのコンパスのようなもの。
それぞれの好みもあるので、高得点のものを選べば絶対においしいワインに出会える、というわけではありません。
しかし、パーカーポイントで高得点を獲得しているワインとは、年間1万本のワインをテイスティングし、近代のワイン評価に革命を起こした偉人が評価したワインです。
ワイン選びのひとつの目安としてみてはいかがでしょうか。
ミシュランガイドとのコラボレーションも、今後注目したいところです。
皆さんの美食時間がさらに充実したものとなりますように・・・!