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「ロマネ・コンティ」
ワイン愛好家でなくても、テレビや雑誌でこの名前を一度は耳にしたことのある方も多いのではないでしょうか。
「世界一高価なワイン」として有名で、現在の流通価格は1本300万円を超えることも。
しかし、「高価」であることはロマネ・コンティの一面に過ぎず、本当の魅力は、その比類なき「品質」と「味わい」で、世界最高峰とされています。
ワイン愛好家たちにとっては垂涎の的で、毎年争奪戦が繰り広げられるほどです。
ワインには、酸味や果実味、渋み(タンニン)といった要素がありますが、ロマネ・コンティは、あらゆる要素が完璧なバランスで保たれており、「完全な球体」と例えられるほどです。
筆者が実際にロマネ・コンティをテイスティングした際の印象も、まさしく「球体」を思わせる、さまざまな要素の完璧な調和でした。
赤い果実やスミレ、スパイスといった複雑で官能的な香りも相まって、しばらく言葉を失ってしまったほどです。
この記事では、ロマネ・コンティの基本に始まり、歴史やワイン造り、高価格の理由までを解説し、その正体を詳しく見ていきます。
また、最後に優れたブルゴーニュ・ワインをお愉しみいただけるとっておきのレストランをご紹介いたしますので、ぜひ最後までお読みください。
【世界最高峰のワイン】
ロマネ・コンティとは?
画像出典:※Instagram @_domainedelaromaneeconti さんより
ロマネ・コンティとは、ブルゴーニュ地方のヴォーヌ・ロマネ村にある「畑の名前」。
そして、その畑で造られるピノ・ノワールというブドウ品種から造られる「赤ワインの名前」でもあります。
このロマネ・コンティという畑は、わずか1.8ヘクタール(サッカーコート2.5面分)ほどしかありませんが、グラン・クリュ(特級畑)と呼ばれる、ブルゴーニュ・ワインの格付けの頂点に位置し、名実ともに世界最高峰の赤ワインを生み出すとされています。
(※ブルゴーニュ・ワインは、「ワインの名前」=「地区や村、畑の名前」なので、少しわかりにくいですね。)
このロマネ・コンティを生み出すのは、ヴォーヌ・ロマネ村に本拠内を置く孤高の生産者、ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ(Domaine de la Romanee Conti)(以下、DRC)です。
DRCは、ロマネ・コンティをはじめ、周辺に8つのグラン・クリュ(特級畑)を所有し、世界中のレストランやワインコレクターたちが追い求める至高のワインを生み出しています。
【起源は遡ること2000年前】
ロマネ・コンティの歴史
画像出典:※Instagram @dvinumfr さんより
ロマネ・コンティの歴史は、ローマ時代まで遡ります。
ロマネ・コンティの畑周辺では、2000年ほど前から良質なワインが生まれることがすでに知られており、ローマ人が「ロマネ」という名前を付けたと言われています。
10世紀初頭からは修道院の所有となり、この高貴なブドウ畑は連綿と受け継がれてきました。
ロマネ・コンティの優れた味わいから、ルイ14世が持病の治療薬として、毎日スプーン数杯のロマネ・コンティを飲んでいたという有名なエピソードもあります。
また、ルイ15世の寵愛を一身に受けていたポンパドール夫人は、先代のルイ14世が愛したロマネ・コンティの畑が売りに出ていることを知ると、ぜひ手に入れようとしますが、競売で敗れてしまします。
その敗れた相手の名前が、コンティ公爵ルイ・フランソワ1世。
そしてこの畑は、彼の名にちなんで「ロマネ・コンティ」と名付けられたのでした。
画像出典:※Instagram @romaneecontibrasil さんより
1789年のフランス革命により畑は没収されてしまいましたが、ロマネ・コンティという名は残り、現在まで引き継がれています。
その後、複数の所有者を経て、1869年にオベール・ド・ヴィレーヌの家系がロマネ・コンティの所有権を獲得。
改革に乗り出し、他の畑の取得に始まり、サントネイからヴォーヌ・ロマネへの醸造所移転や、他の生産者に先駆けて自社での瓶詰めも開始しました。
そして1912年、ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティを商標登録し、現在のDRCが誕生したのです。
しかしDRC社は、1930年代の世界大恐慌と不作、そしてフィロキセラの被害で経営難に苦しみ、ドメーヌの売却を検討するまでに。
そこに手を差し伸べたのが、現在のルロワ社。
同社が株式の取得を提言し、1942年以降DRCはド・ヴィレーヌ家とルロワ家が共同経営となりました。
現在は、オベール・ド・ヴィレーヌと共に、ルロワ女史の1人娘ペリーヌ・フェナル女史が共同経営者として、DRCの運営にあたっています。
【神に愛された村の至宝】
ロマネ・コンティの畑
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2000年の歴史を持ち、王侯貴族たちをも虜にしたロマネ・コンティ。
そんな人々を魅了し続ける「畑」について詳しく見ていきましょう。
「神に愛された村」と喩えられる、ヴォーヌ・ロマネ村。
ブルゴーニュの中でも珠玉と言われる8つのグラン・クリュ(特級畑)を擁する、ピノ・ノワールの聖地とも言えます。
そんな村にある、わずか1.8ヘクタール(サッカーコート2.5面分)ほどの畑が、ロマネ・コンティ。
ピノ・ノワールに適しているとされる石灰質の土壌に、東南東に向いた非常に日照条件に恵まれた立地。
土壌や日照量などあらゆる面で秀でた畑で、最高品質のワインが生み出されるのもうなずけます。
また、ブルゴーニュでは、一つの区画や畑を複数の生産者が分割して所有するのが一般的で、同じワイン名でも生産者が異なる場合がほとんどです。
ですが、ロマネ・コンティの畑は例外で、DRC社というだだ一つのの生産者が単独所有しており、他の生産者のものは存在しません。
このような畑は、「モノポール」(=単独所有畑)と呼ばれ、テロワールや造り手の哲学が色濃く反映されるので、生産者にとっても愛好家にとっても非常に重要な位置づけとなっています。
【妥協なきワイン造り】
ロマネ・コンティの製法
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ロマネ・コンティが世界最高峰と言われる所以は、畑の特性だけでなく、そのワイン造りにもあります。
現在でも耕作には馬を用い、ビオディナミ農法と呼ばれる農薬や除草剤を一切使用しない有機栽培の一種でブドウを栽培し、できる限り人間の介入を減らした自然に近い状態を保っています。
また、厳しい収量制限を行っていることに加え、手摘みで収穫されるブドウは、粒単位で選別するという徹底ぶりです。
ワインのろ過などは最小限にとどめ、ワインの移動もポンプを使わず重力を利用します。
時代を逆行するような、この妥協なきワイン造りが、世界最高峰と呼ばれるワインを生み出しているのです。
【1本300万円を超えることも】
高騰を続けるロマネ・コンティの価格
画像出典:※Instagram @_domainedelaromaneeconti さんより
現在の日本国内のロマネ・コンティの流通価格は、およそ200~300万円程度。
なぜ、ワイン1本の値段にこれほどまで高値がつくのか?
それは、ロマネ・コンティの生産本数が極めて少ないからです。
1.8ヘクタールほどの畑から生産されるロマネ・コンティは、年間わずか6,000本程度。
ワインの品質は言うまでもなく、その希少性から、需要に対して常に供給が追い付いていない状況です。
近年では、中国をはじめとした世界の富裕層の注目が、ロマネ・コンティをはじめとする希少ワインに集まり、非常に高値で取引されることが常態化。
とりわけロマネ・コンティの人気は飛びぬけて高く、価格も上昇の一途を辿っています。
そして、「ロマネ・コンティ=世界一高価」というイメージが定着していったのです。
画像出典:※Instagram @ackerwines.japan さんより
また、価格の高騰に拍車をかけているもう1つの理由は、ロマネ・コンティが投機の対象になっているからです。
どのようなワインでも、市場に流通する本数は年を追うごとに減っていき、需要と供給のバランスが崩れ始めます。
これが生産本数わずか6,000本程度のロマネ・コンティであれば、その希少価値に拍車がかかり、高値が高値を呼ぶのは想像に難くないでしょう。
加えて、一般的にロマネ・コンティはリリースされてから飲み頃を迎えるまでに30年~40年以上という熟成期間が必要と言われており、長期保有したとしても品質の劣化や値崩れのリスクの少ない、優良な投機対象と言えるのです。
しかし残念なことに、その希少性と高値ゆえ、偽造品(フェイク)も多く散見されるようになりました。
ワインオークションでは、ワインの真贋に物言いがつき、出品が取りやめになるケースも出てきているのです。
一昔前だと、ラベルやキャップシールのフォントなど、本物と偽物を区別するいくつかのポイントがありましたが、現在では印刷技術も発達し、プロでも見分けがつかないほど巧妙な偽造品が多くなってきています。
ですので、もし購入を検討される場合は、信頼できるルートから入手することが非常に大切です。
もっとも安全なのは、国内の「正規代理店」が輸入した「正規品」を購入することです。
正規代理店とは、生産者から直接輸入しているワイン業者を指します。
生産者とダイレクトに契約・取引を行っているため、偽造品のリスクもなく、市場価格としては最安値です。
ただし、著名レストランやコレクターたちのセラーに消えてしまう場合がほとんど。
どうしても入手したい場合は、百貨店などの初売りで抽選販売が行われていることが多々ありますので、そうした機会をねらうのがよいでしょう。
ワイン愛好家の終着点
品質も価格も世界最高峰と言われるロマネ・コンティの歴史や畑の特徴から、高騰する価格の背景までを見てまいりました。
価格や希少性を考えると、ロマネ・コンティを口にする機会は、人生で一度あれば幸運といえるでしょう。
味わうことはおろか、実際にボトルに触れることさえ稀なロマネ・コンティは、ワイン愛好家の終着点とも言えます。
この記事を通して、偉大なワインの魅力が伝わりましたら幸いです。
DRCのワインをはじめとした希少なものは、プロの手に委ねて安心して愉しみたいものです。
そこでご紹介したいのが、銀座8丁目、並木通り沿いに佇む、レヴェランス R(アール)。
ブルゴーニュとシャンパーニュの古酒(20年~30年熟成したワイン)に特化したフレンチレストランです。
過去にも、60~70年代の綺麗に熟成したDRC社のワインの入荷実績もあり、希少な古酒のセレクションには定評があります。
※ワインの在庫は常に流動しておりますので、ご希望に添えない場合もあることをご承知おきください。
【希少な古酒を愉しむ】
レヴェランス R(アール)
画像出典:※Instagram @reverence_r_ さんより
長期の熟成を経たワインは、時間と共に香りも味わいも変化し、合わせる料理によっても異なる表情をを見せてくれます。
レヴェランス Rは、極上の状態で保管・熟成されたトップクラスのワインと料理の究極のマリアージュを体験できる稀有な空間。
ワインを突き詰めたい、知的好奇心溢れる方にも十分満足いただけるレストランです。