ワインやシャンパンのロゼというと、その美しいピンク色からとても華やかなイメージがありますね。
特にロゼシャンパンは、パーティーなどでその場の雰囲気をぐっと盛り上げてくれる名脇役です。
近年、ワイン大国フランスはもとより、アメリカをはじめ世界的にロゼワインの人気が高まっており、ワイン業界でも大きなトレンドと言われています。
この記事では、ロゼワインを中心にその特徴や製法、料理との合わせ方、そしてロゼシャンパンを含めたおすすめの6本までを解説していきます。
また、最後に美しいロゼカラーの内装に包まれて、貴重な年代もののワインとフレンチのマリアージュを楽しめるレストランをご紹介。
美食を追求するワイン愛好家にもきっと満足いただける1軒ですので、ぜひ最後までお読みいただければ思います。
ロゼワインとは?
画像出典:※Instagram @domainesott さんより
フランス語で「バラ色」を意味する「ロゼ(rose)」。
ロゼワインとは、バラ色=ピンク色をしたワインの総称です。
世界中で生産されていますが、フランスのプロヴァンス地方がもっとも有名なロゼワインの産地。
プロヴァンス地方全体の生産量のうち、ロゼワインの占める割合はなんと9割。
ロゼというと、日本ではあまり飲む機会がないかもしれませんが、フランス国内でのロゼワインの消費量は白ワインを抜き、全体の3割を超えます。
【ブーム到来】ロゼワイン人気の理由
ロゼワインの人気は、アメリカを筆頭に世界的に高まっており、同国の年間の消費量では、フランスに次ぐ世界第2位につけています。
いったいアメリカで何が起こっているのでしょうか?
【華やぐ雰囲気】
写真映えする美しさ
画像出典:※Instagram @moetchandon さんより
アメリカでのブームの背景にあるのが、「インスタグラム」をはじめとしたSNSの普及です。
SNSに馴染みの深いミレニアル世代と呼ばれる、感度の高い若者たちの目に留まったのが、ロゼワインでした。
画面を彩る鮮やかなピンク色のロゼワインは、彼らの求める「インスタ映え」には最適なアイテムだったのです。
【楽しむシーンを選ばない】
バラエティ豊かな色・味わい
画像出典:※Instagram @domainesott さんより
人気を後押しするもう1つ理由として、ロゼワインには、いろいろな料理に合わせられるバラエティ豊かなタイプがあることが挙げられます。
一口にロゼワインと言ってもその色合いは、ほんのりとした淡いピンクから、赤ワインと間違えそうな濃い色調のものまで実にさまざま。
味わいも色合いに沿ってグラデーションのように、ライトなものから重厚なものまであるので、飲むシチュエーションや料理のジャンルによって、いろいろなチョイスが可能です。
このような豊かなバリエーションが、アメリカでの消費を後押ししているのでしょう。
【色合いが異なる3つの製法】
ロゼワインができるまで
画像出典:※Instagram @domainesott さんより
では、その色合いや味わいの違いはどうやって生まれるのか?
その秘密は、ロゼワインの製法にあります。
白ワインと赤ワインを混ぜ合わせれば、簡単にロゼワインができると思われるかもしれませんが、この製法はシャンパンを除き、フランスのワイン法で禁止されているのです。
※このワイン同士を混ぜ合わせることを、アッサンブラージュ(=ブレンド)と言い、アッサンブラージュ製法と呼びます。
ロゼワインには、「セニエ法」、「マセラシオン法」、「直接圧搾法」と呼ばれる3種類の製法があります。
左から順に濃い色調から淡い色調となり、味わいもしっかりとものから軽やかなものに。
色に対応して味わいも変化するので、好みのタイプを判断しやすいですね。
それでは、これら3つの製法を詳しく見ていきましょう。
【濃く鮮やかなピンク色】
セニエ法
セニエとは、フランス語で「血抜き」を意味し、果皮と一緒に漬けた状態から果汁だけを抽出することから名付けられました。
具体的には、プレスして絞る前の果汁に、潰した黒ブドウを漬け込んで果皮から色素を抽出。
適度に色が付いた段階で果汁のみを取り分ける製法です。
ロゼワインの中でも特に色調が濃く、ボリュームのある果実の味わいが感じられるワインに仕上がります。
【オレンジがかったピンク色】
マセラシオン法
マセラシオン法は、上記セニエ法と同じ工程を経ますが、果皮から色素を抽出する時間を短縮した製法です。
オレンジがかった中間的なピンクの色合いで、仕上がる味わいも比較的ライトなものからしっかりしたものまで幅広く造られています。
【淡く穏やかなピンク色】
直接圧搾法
直接圧搾法は、赤ワイン用の黒ブドウの果汁を絞った際に、わずかに抽出される赤ワインの色素を用いて色付けする製法です。
すぐに果皮や種、茎を取り除くので、色合いは淡いピンク色。
とても軽やかな口当たりで、普段ワインを飲み慣れていない方にもぴったりなワインに仕上がります。
【+αの知識】
ロゼシャンパンの製法
ロゼシャンパンも基本的に上記と同じ製法で色付けをし、炭酸ガスを発生させる瓶内二次発酵を経て完成します。
(※瓶内二次発酵とは、ワインの糖分をアルコールと炭酸ガスに変化させる工程で、これによりシャンパンは発泡性を帯びます。)
そして、ロゼシャンパンにはもう1つ製法があり、先ほどご説明したロゼワインでは禁止されている、白ワインと赤ワインを混ぜ合わせるアッサンブラージュ製法。
なぜシャンパンでは許されているかというと、もともとシャンパンは、厳しい気候条件のためブドウの収穫が安定せず、リザーブしておいた複数年の白ワインや赤ワインをブレンドして造る習慣があったからです。
【色合いから考える】
ロゼワインとのフードペアリング
ワイン、シャンパンどちらのロゼも、合わせる料理の幅はとても広く、色合い=味わいの濃さによって相性が決まります。
上記の製法からできる3つの色合いに分けて、どのようなジャンルの料理と合うのか、それぞれ見ていきましょう。
【和食もOK!繊細な料理と合わせて】
淡いロゼ
画像出典:※Instagram @ginzaonodera さんより
ロゼワインの中でももっともスタンダードなタイプで、プロヴァンス地方でも多く生産されています。
直接圧搾法で造られているので、果実味やタンニン(渋み)が穏やかで、繊細で軽やかな料理や、お寿司や和食との相性も非常によいです。
【中華やエスニックとも好相性】
オレンジがかったロゼ
画像出典:※Instagram @andivietnamese さんより
このタイプは、色合いも味わいも中間に位置するオールラウンダーと言えるロゼワイン。
多くがマセラシオン法から造られ、程よい果実味と渋みが心地よく、食事のスタートから終わりまで1本で通すことができます。
特に、プロヴァンス地方を代表するブイヤベースなどのシーフード料理とはぴったり。
また、南仏のブドウ品種に特徴的なスパイシーな香りが豊かで、中華やエスニックといったオリエンタルな料理との相性も抜群です。
【肉料理にも負けない】
色鮮やかな濃いロゼ
画像出典:※Instagram @andivietnamese さんより
最後に、もっとも色の濃いタイプのロゼは、ブドウの果皮から色素もタンニン分もしっかりと抽出されていますので、味わいもセニエ法らしいボリューム感のある赤ワインに近いものとなります。
メインの肉料理にも負けないしっかりとした骨格で、スペアリブなどの甘辛い味付けの料理にもピッタリです。
【ワインとシャンパンを厳選】
おすすめのロゼ3+3選
ロゼの製法や味わいからあいしょうのよい料理まで見てまいりましたので、ここからはまず試していただきたいおすすめのロゼワインとロゼ・シャンパンをそれぞれ3本ずつ紹介いたします。
【食卓をカジュアルに彩る】
ロゼワイン3選
まずご紹介するロゼワインは、フランスを代表する生産者のものと日本が誇るメルシャンが手掛けるもの。
どれもお手本のような完成度で、ロゼワインとは?を教えてくれるアイテムばかり。
自宅でも気軽に試すことのできる価格帯も魅力です。
【キング・オブ・ロゼ】
バイ・オット ロゼ 2020
バイ・オット ロゼ 2020
Domaines Ottes ★
BY. OTT ROSE 2020
生産地:フランス / プロヴァンス
品種:シラー /グルナッシュ / ムールヴェードル / サンソー
ロゼワインのトップ生産者として、フランスはもとより世界的に有名なドメーヌ・オット★。
大衆向けと考えられていたプロヴァンス地方のロゼワインの品質を劇的に向上させた立役者として、「キング・オブ・ロゼ」の名で知られています。
彼らのワインの人気はフランス国内にとどまらず、アメリカや香港などの高級レストランやホテルにオンリストされています。
今回ご紹介するワインは、ドメーヌ・オット★のセカンドワイン。
トップドメーヌのクオリティを手ごろな価格で楽しめる嬉しい1本です。
トロピカルフルーツのアロマに、豊かな果実味とミネラルが合わさり、しっかりとした魚介料理にも負けません。
【ブラピとアンジーが手掛ける】
ミラヴァル ロゼ 2020
ミラヴァル ロゼ 2020
JOLIE-PITT & PERRIN
MIRAVAL ROSE 2020
生産地:フランス / プロヴァンス
品種:サンソー / グルナッシュ / シラー / ロール
世界的ハリウッドスターであるブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリー。
そんな彼らが、フランスを代表する醸造家ペラン・ファミリーと手を組んで生まれたのが、ミラヴァル・ロゼ。
2012年の初リリースから、著名ワインジャーナリストらから高評価を獲得し続けて、世界中にファンを生み出しました。
清涼感を伴った果実の香りに、バランスの良い酸とミネラル、ミラヴァルらしい繊細な口当たりが魅力。
プロヴァンス地方ならではのシーフード料理にとどまらず、和食にも十分合わせられるマルチなロゼです。
【メルシャンが放つ日本のロゼ】
椀子(まりこ)ロゼ 2019
椀子 ロゼ 2019
Chateau Mercian
Mariko Rose 2019
生産地:日本 / 長野県
品種:メルロー / シラー / カベルネ・フラン / カベルネ・ソーヴィニヨン
日本最古の民間ワイナリーである「大日本山梨葡萄酒会社」をルーツとする、シャトー・メルシャン。
国際ワイン・コンクールで数々の受賞歴を誇り、日本ワインのレベルの高さを国内外に示してきました。
そのシャトー・メルシャンが、最高品質のワイン造りを目指して2003年に開園したのが、「椀子(まりこ)ヴィンヤード」。
自社管理のブドウ畑から生み出されるロゼワインは、ベリー系の果実のアロマに、ふくよかなタンニンが合わさり、程よいボリューム感が魅力。
中華系の肉料理や、みりんや醤油を使った和食とも素晴らしい相性を見せてくれます。
【華やかなパーティーシーンにおすすめ】
ロゼシャンパン3選
ロゼシャンパンは、高品質と安定感が魅力の大手メゾンが手掛けるスタンダードなタイプをピックアップいたしました。
期待を裏切らない味わいで、コストパフォーマンスの良さも見逃せません。
こちらでご紹介するアイテムは、百貨店やオンラインショップでもすぐに購入できますので、ホームパーティーの手土産やちょっとした記念日に自宅で楽しむ時にもぴったりかと思います。
【シャンパンメゾン世界最大手】
モエ・エ・シャンドン ロゼ・アンペリアル NV
ロゼ・アンペリアル NV
Moet et Chandon
Rose Imperial NV
生産地:フランス / シャンパーニュ
品種:ピノ・ノワール / シャルドネ / ピノ・ムニエ
シャンパン最大手のモエ・エ・シャンドン社が造るスタンダードなロゼシャンパン。
ピノ・ノワールをメインに、シャルドネ、ピノ・ムニエの3種類のブドウから造られます。
リザーヴワインを全体の20~30%までブレンドし、セラーで21ヵ月間の瓶内熟成を経てからリリースされます。
赤いベリーや花のアロマ、フレッシュな果実味に加え、リザーヴワインによる熟成感のニュアンスが特徴。
食前からからメインのお肉料理まで、シーンを選ばない1本です。
【品質はただ1つ、最高級だけ】
ヴーヴ・クリコ ローズ・ラベル NV
ローズ・ラベル NV
Veuve Clicquot
Rose Label NV
生産地:フランス / シャンパーニュ
品種:ピノ・ノワール / シャルドネ / ピノ・ムニエ
モエ・エ・シャンドン社に並ぶ最も有名なシャンパンメゾンの1つ、ヴーヴ・クリコ社。
このローズ・ラベルは、スタンダード・キュヴェのイエローラベルのように、広く愛されるロゼを造りたいという信念のもとに造られた1本。
世界に先駆けて、日本で2004年春から発売されたエレガンスと趣を兼ね備えた豊かな味わいが魅力のシャンパンです。
約50~60種類の異なるリザーヴ・ワインと少量の赤ワインを加えることで、熟成感とフレッシュ感が見事に両立しています。
【英国王室御用達の名門メゾン】
ローラン・ペリエ キュヴェ・ロゼ NV
キュヴェ・ロゼ NV
Laurent Perrier
La Cuvee Rose NV
生産地:フランス / シャンパーニュ
品種:ピノ・ノワール 100%
英国王室御用達の名門シャンパン・メゾン。
非常に手間がかかることから、大手メゾンではあまり採用しないセニエ法で仕立てるロゼシャンパンです。
丁寧に醸造され最低4年の瓶内熟成を経てからリリースされるこのキュヴェは、メゾンのポリシーである「フレッシュさ」、「エレガントさ」、「バランスのよい味わい」を見事にを体現します。
ロゼ色でに日常をもっと華やかに
ロゼワインやロゼシャンパンの製法や特徴に始まり、相性のよい料理、おすすめのワインまでをご紹介してまいりました。
見た目の華やかさだけでなく、料理や飲むシーンを選ばない万能選手のロゼ。
好みのタイプを見つければ、自宅やレストランでの楽しみの幅もぐっと広がり、気分も華やかになりますので、ご紹介したアイテム含め、ぜひいろいろとお試しください。
そして、ロゼをテーマにした記事の最後に、ロゼカラーを基調とした内装が美しいレストランをご紹介したいと思います。
古酒(20~30年熟成したワイン)をメインに扱うフレンチレストラン、レヴェランス R(アール)。
「主役はワイン」をコンセプトに、1本の古酒とじっくりと向き合う時間をお楽しみいただけます。
綺麗に熟成したワインとはどういうものか?をプロの視点とともに体感できる特別な空間です。
ロゼ色の空間に包まれる
レヴェランス R(アール)
画像出典:※Instagram @reverence_r_ さんより
長期の熟成を経たワインは、時間と共に香りも味わいも変化し、合わせる料理によっても異なる表情をを見せてくれます。
レヴェランス Rは、極上の状態で保管・熟成されたトップクラスのワインと料理の究極のマリアージュを体験できる稀有な空間。
ワインを突き詰めたい、知的好奇心溢れる方にも十分満足いただけるレストランです。