世界的にも注目を集める「日本ワイン」。
現在日本国内には、北から南まで300を超える数のワイナリーがあり、それぞれに個性を発揮して互いを高め合っています。
世界に肩を並べる品質のものも多く造り出され、百貨店やレストランでもとりあげられることも多くなり、私たちの日常にも徐々に浸透し始めました。
南北に長く、四季に彩られた日本の気候から生まれたワインは、実に個性豊かで地域ごとの特徴を色濃く反映しています。
せっかくならそんな日本ワインを、造られる土地の風土を感じながら飲みたいものですよね。
そこでこの記事では、ぜひ訪れていただきたい日本を代表するワイナリーをご紹介したいと思います。
まずは、あいまいな感じで使われている「日本ワイン」について、「国産ワイン」との違いを解説。
そして、「北海道・東北」、「関東」、「山梨県」、「長野県」、「その他の地域」の5つのエリアに分けてそれぞれ3つずつ、合計15のワイナリーを詳しくご紹介いたします。
※この記事は2021年11月16日時点での情報です。(※最終更新日:2022/01/28)
新型コロナウィルスの影響により、休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性がありますので、事前に各施設・店舗の公式ページなどから最新の情報をご確認ください。
【意外と知らない?】
日本ワインと国産ワインの違いとは?
日本のワイナリーをご紹介する前に、まずは「日本ワイン」と「国産ワイン」の違いを見ていきましょう。
「日本ワイン」と「国産ワイン」、どちらも耳にしたことがあるかと思います。
(※現在、国産ワインは、「国内製造ワイン」と名称が変わっています。)
その響きから同じような意味合いと考えられがちですが、実はこれら2つは全くの別物です。
これらの違いは、下記の通り定められています。
✓日本ワイン:国産のブドウのみを使用して造られるワイン
✓国内製造ワイン:国産ブドウに加え、海外から原料(ワイン、ブドウ、濃縮果汁)を使用して造られるワイン
海外では産地や栽培方法などを厳しく定めたワイン法がありますが、日本ではこのような法整備が進んでいませんでした。
これまでの「国産ワイン」と呼ばれていたものは、国産ブドウのみを原料とした「日本ワイン」のほか、海外から濃縮果汁やブドウなどを輸入し、「国内で製造したワイン」が混在している状況だったのです。
そのため、厳密な「日本ワイン」と「国産ワイン」の線引きがあいまいで、消費者にとって混乱する状況でした。
そこで、「日本ワイン」をはっきりと区別しようとするムーブメントが起こり、2018年に法律が施行。
現在では、上記のように明確に分類されています。
これら2つの違いが分かったところで、さっそく「日本ワイン」のワイナリーを見ていきましょう。
【厳寒が生み出す高品質ワイン】
北海道・東北エリア
北海道や東北といったとても寒い地域でもブドウ栽培ができるの?と思った方も多いと思います。
しかし、北海道の緯度は、フランスを代表するシャンパーニュが造られる地域よりも少し低いところに位置。
気候もともて似ており、フランスを始め世界の醸造家たちも注目するエリアなのです。
【特産ハスカップのワインも】
千歳ワイナリー(北海道)
画像出典:※Instagram @tamayan_403_rjgg さんより
1988年創業の千歳ワイナリー。
このワイナリーの始まりは、「アイヌの不老長寿の果物」として北海道に分布する、ブルーベリーに似た果物であるハスカップを使用したフルーツワインでした。
その後、ピノ・ノワール(赤ワイン用)とケルナー(白ワイン用)というブドウ品種をメインに栽培し、北の大地の冷涼な気候を反映したエレガントで高品質なワインを生み出しています。
現在ワイナリーを運営するのは、三澤計史氏。
三澤氏は、後ほどご紹介する山梨県のグレイスワインを運営する三澤家のご子息で、遠く離れた地で醸造家の血が脈々と引き継がれています。
見学ツアー、テイスティングにはそれぞれ無料と有料がありますので、興味に合わせて参加するとよいでしょう。
ただし、前日までの予約が必要なのでご注意ください。
電話番号 Google map〒066-0035 北海道千歳市高台1丁目6−20
【車】道央道「千歳IC」より約15分、道東道千歳「東IC」より約20分
【電車】JR千歳線「千歳駅」より徒歩10分
【バス】JR千歳線「千歳駅」よりバス(千歳市民病院行き12番)で「高台1丁目」下車後すぐ 営業時間9:00~12:00、13:00~17:00 定休日【4月~10月】無休
【11月~3月】土日、祝日 備考駐車場:有
【温泉郷に佇む】
仙台秋保(あきう)ワイナリー(宮城県)
画像出典:※Instagram @akiuwinery さんより
仙台秋保(あきう)ワイナリーは、2015年にオープンした比較的新しいワイナリー。
東日本大震災後、地域の復興・振興を目的としたビジネスに取り組み、
山と海の幸に恵まれた宮城県は食材の宝庫と言われ、秋保ワイナリーも「究極のマリアージュは産地にあり」をコンセプトに、この地のテロワールを反映したワイン造りを追求しています。
ワイナリーにはショップ・カフェも併設されているのに加え、敷地内ではバーベキュー(食材セット)が楽しめるので、夏場に家族で訪れればよい思い出の一コマになりますね。
また、仙台の奥座敷、奥州三名湯の1つである秋保温泉にほど近く、周辺の観光もあわせてぜひ訪れたいワイナリーです。
電話番号 Google map 営業時間9:30~17:00 定休日火曜日 備考駐車場:有
【日本屈指のブドウ産地】
高畠ワイナリー(山形県)
画像出典:※Instagram @takahatawinery さんより
フルーツ王国山形県の中でも、優れたブドウ産地として知られる高畠町。
食用に加え、ワインに使用されるシャルドネ、デラウェア品種の出荷量は、町としては日本一を誇ります。
高畠ワイナリーは1990年の設立以来、掲げるコンセプトは「100年かけても世界の銘醸地に並ぶプレミアムワイナリーとなること」。
高品質なワインの生産だけにとどまらず、このワイナリーだからこそ提供できる、ワインを通した「体験・経験」をお客様へ届けることを目指しています。
併設するショップでは、常時試飲できるワインが4~5種類用意されているので、好みの1本がきっと見つかります。
また、地元で収穫されたさくらんぼや桃を使用したフルーツワインも販売されており、お土産にも最適です。
電話番号 Google map 営業時間【1月~3月】10:00~16:30
【4月~12月】9:00~17:00 定休日年末年始
【1月~3月】水曜日 備考駐車場:有
【東京近郊で活発化するワイン造り】
関東エリア
関東近県ならまだしも、都内にワイナリーがあると聞くと驚かれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は、2014年に東京初のワイナリーが誕生したのち、その数は徐々に増え始め現在では7つのワイナリーが都内に居を構えています。
そして近年、多くの醸造家たちが、東京近郊にワイン造りの可能性を求めて集まり始めているのです。
ここでは、東京都、神奈川県の規模は小さいながら注目を集める新興ワイナリーを1軒ずつと、栃木県の歴史あるワイナリーを1軒ご紹介いたします。
【東京初のワイン醸造所】
東京ワイナリー(東京都)
画像出典:※Instagram @tomtomzx さんより
東京で初めてのワイナリーとして2014年にオープンして以来、注目を集める東京ワイナリー。
東京の農業を広めたいという想いから、もともと野菜の仲卸で働いていた越後屋美和氏が創業しました。
「東京産のワインと野菜を合わせて食す」、というシンプルなコンセプトを東京に住む人たちにこそ体験してほしいと考えています。
ワイナリーでは、ワインの量り売りも行っており、1本だとちょっと多い、少し試してみたいといった場合に重宝します。
ホームページ上で「本日の量り売り」が掲載されているので、興味のある方はチェックしてみてくださいね。
また、土日にはランチ営業しているので、週末にちょっとした観光気分を味わうのにぴったりです。
電話番号 Google map〒178-0061 東京都練馬区大泉学園町2-8-7
【電車】西武鉄道「大泉学園駅」より徒歩10分 営業時間11:00~17:00 定休日水曜日 備考駐車場:無
【日本最小のワイナリーが造る”ハマワイン”】
横濱ワイナリー(神奈川県)
画像出典:※Instagram @thamawine さんより
日本で一番小さな、一番海に近いワイナリーとして、2017年にオープンした横濱ワイナリー。
ワインは「ハマワイン」という名称で販売され、カモメや船をあしらったラベルが港町にぴったりで、親しみやすさを感じさせます。
ラインナップは、軽やかなものからしっかりしたものまで揃っていますが、共通するのは優しい飲み口。
飲み疲れせず、和食からフレンチ、中華までさまざまなジャンルに合わせることができます。
店舗では、常時10種類以上のアイテムが試飲でき、簡単なおつまみも用意されています。
また、予約制の見学ツアー(有料)は、ワイナリーの代表自身が案内するので、ワイン造りに対する熱い想いを感じることができるでしょう。
電話番号 Google map〒231-0801 神奈川県横浜市中区新山下1-3-12
【電車】みなとみらい線「元町・中華街駅」元町口(5番)出口より徒歩3分 営業時間祝日を除く火~木曜日:完全予約制( ※来店希望日の1週間前までに要連絡)
【平日】14:00~21:00 (購入、飲食ともにL.O.20:00)
【土曜日】11:00~21:00(購入、飲食ともにL.O.20:00)
【日曜・祝日】11:00~18:00
定休日無休 備考駐車場:無
【生徒たちの手作業が支える】
ココ・ファーム・ワイナリー(栃木県)
画像出典:※Instagram @thamawine さんより
ココ・ファーム・ワイナリーでは、ブドウ栽培やワイン造りの一部を、知的障がい者の支援施設「こころみ学園」の生徒たちが支えています。
このワイナリーの歴史は1950年代まで遡り、特別支援学級の中学生たちと、その担任教師だった川田昇氏によって開墾されたブドウ畑がルーツです。
彼らは、ブドウ栽培からさらにワイン造りを目指し、1980年にココ・ファーム・ワイナリーが設立されました。
地味で手の抜けない作業ばかりのワイン造りにおいて、生徒たちの実直な仕事に対する姿勢が大いに発揮され、非常に高品質なワインが生まれました。
そして、2000年の九州沖縄サミットや2008年の洞爺湖サミット、2016年の広島G7外相会合でも海外の要人たちをもてなす日本ワインとして、ココ・ファーム・ワイナリーのワインが選ばれたのです。
ワインだけでなく、その背景にあるストーリーまで味わい深いココ・ファーム・ワイナリー。
いろいろな人たちの想いの詰まったワインを、ぜひ現地で体験してみてください。
電話番号 Google map〒326-0061 栃木県足利市田島町611
【車】北関東自動車道「足利IC」より約10分
【電車】JR両毛線「足利駅」よりタクシーで約18分、東武伊勢崎線「足利市駅」よりタクシーで約20分
【バス】あしバスアッシー行道線「ココファーム入口」より徒歩約7分(※土日祝日運休が4便ありますのでご注意ください)
営業時間10:00~18:00 定休日年末年始
1月第3月曜日~金曜日まで5日間 備考駐車場:有
【日本のワイン造り発祥の地】
山梨県
日本のワイン造りがスタートした地であり、もっとも多くのワイナリーが集結する山梨県。
大手酒類メーカーから、小規模ながら長い歴史を持つ家族経営まで、80を超えるワイナリーが軒を連ねています。
その理由は、ブドウ栽培に適した気候にあります。
山梨県は周囲を山々に囲まれているため、梅雨や台風の影響が少なく、日照量が豊富。
そして、盆地気候のため昼夜の寒暖差が大きく、ブドウの生育に適した条件が揃っているのです。
日本が誇る銘醸地、山梨県を代表するワイナリー3軒をさっそく見ていきましょう。
【ブドウを造り続けて100年以上】
サントリー 登美の丘ワイナリー
画像出典:※Instagram @trryyyooo さんより
サントリーが運営するこちらのワイナリーは、富士山を望む甲府盆地、登美の丘(とみのおか)にあります。
ブドウ造りの歴史は、1909年まで遡る歴史あるワイナリーです。
カベルネ・ソーヴィニョンやメルロー、シャルドネといった国際品種を使用したワインは、国内外で高い評価を得てきました。
一方で、甲州という日本固有のブドウ品種の可能性に注目しており、更なる日本ワインの進化を目指しています。
ワイナリーツアーでは醸造所に加え、一部のブドウ畑は見学も可能で、実際にワインに使用されるのブドウ樹を間近に見ながら散策できます。
また、併設されているショップでは、ワインやオリジナルグッズの購入はもちろん、有料のテイスティングカウンターもあり、数十種類のアイテムを気軽に試飲することも可能です。
電話番号 Google map〒400-0103 山梨県甲斐市大垈2786
【車】中央道「双葉スマートIC」から約10分、「甲府昭和IC」から約25分または「韮崎IC」から約10分
【電車】JR中央本線「甲府駅」よりタクシーで約30分または「竜王駅」よりタクシーで約15分 営業時間9:00~17:00 定休日火曜日、水曜日(8月~11月は水曜日のみ)
【休業】1月~3月 備考駐車場:有
【日本ワイン初の金賞を獲得】
中央葡萄酒 [グレイスワイナリー]
画像出典:※Instagram @mitumitu422 さんより
1923年に初代の三澤長太郎氏が、山梨県の勝沼の地に創業した家族経営のワイナリー。
甲州という日本固有のブドウ品種のポテンシャルを追求し、特に優れた畑から「グレイス甲州菱山畑」、「グレイス甲州鳥居平畑」という傑作を生み出しました。
一方で、メルローやシャルドネといった国際品種でもトップクラスの「キュヴェ三澤」を作り出し、注目を集めます。
そして2014年、世界最大のワインコンクールである”Decanter World Wine Amards”で、日本ワイン初の金賞を受賞する快挙を達成。
その後、グレイスワインの甲州は6年連続で金賞を受賞し、日本ワインの持つ実力を世界史に示しました。
現在は、フランスなどの海外で醸造を学んだ現当主の長女、三澤彩菜氏がワイナリーの運営にあたり、類まれなワインを生み出し続けています。
残念ながら醸造所やブドウ畑の見学は行っておりませんが、ショップとテイスティングスペースがありますので、日本最高峰の甲州を体験しにワイナリーを訪れたいですね。
電話番号 Google map〒409-1315 山梨県甲州市勝沼町等々力173
【電車】JR中央本線「勝沼ぶどう郷駅」よりタクシーで約10分 営業時間9:00~12:00、13:00~16:00 定休日日祝、年末年始 備考駐車場:有
【有形文化財が出迎える】
甲斐ワイナリー
画像出典:※Instagram @hisakazu2147 さんより
天保5年(1834年)に創業の、酒造業にルーツを持つ甲斐ワイナリー。
規模は小さく1.7ヘクタールほど(サッカーコート2.5面分)の自社農園で、甲州やメルローといった山梨県の主要品種を栽培。
1,000円台と手ごろな価格帯からラインナップするするワインは、「すべての人にワインを楽しんでもらいたい」という信念を反映しています。
また、ワイナリー内には、国登録有形文化財に指定される築200年の土蔵を改装したカフェもあり、こちらの全アイテムを試飲できるほか、コーヒーやケーキなども充実。
江戸の歴史を感じながら、旅の途中でほっと一息つけるワイナリーです。
電話番号 Google map 営業時間9:00~18:00 定休日木曜日(※祝日の場合は営業) 備考駐車場:有
【更なる活性化を目指すワイン産地】
長野県
近年、行政の支援や日本ワインブームの後押しもあり、新興のワイナリーが数多く参入する長野県。
地域活性化のため、県を挙げて「信州ワインバレー構想」を立ち上げ、一大ワイン産地として更なるワイン産業の推進を図っています。
そんな活気あふれる長野県のワイナリーからは、現在の基盤を築いてきたと言えるパイオニア的なトップワイナリーをご紹介いたします。
【世界レベルのメルローを生み出す】
シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原ワイナリー
画像出典:※Instagram @hchateaumercian さんより
シャトー・メルシャンの顔とも言える、桔梗ヶ原ワイナリー。
国際品種メルローの栽培が国内でスタートした地とされる、長野県塩尻市桔梗ヶ原に2018年にオープンしました。
メルシャンが世界に誇る桔梗ヶ原メルローを生み出した土壌を活かして、日本最高峰のワイン生産に特化しています。
他のワイナリーと違って一般公開は年に数回のみすが、ワイナリーツアー(要予約、有料)やテイスティング(予約不要、有料)、ワイン販売も行っていますので、スケジュールが合えばぜひ訪れて、日本トップクラスのワインを体感してみてください。
電話番号 Google map 営業時間12:30~16:00 定休日一般公開日による 備考駐車場:有
【日本ワインの革命児】
小布施ワイナリー [ドメイヌ・ソガ]
画像出典:※Instagram @hoasamamisarak さんより
日本ワインの中でも、カルト的な人気を誇る小布施ワイナリー。
とりわけ「ドメイヌ・ソガ」という銘柄が有名で、入荷しても即完売してしまうほどの人気です。
1942年創業の同ワイナリーを現在運営するのは、4代目曽我彰彦氏。
従来は無理と言われていたブドウ栽培の手法や醸造のアプローチなどに取り組み、既存の概念を打ち破るワイン造りで日本ワインの「革命児」と呼ばれています。
大量生産とは距離を置いて、「オンラン販売不可」、「特約店のみで入手可能」という徹底したポリシーを貫いています。
さぞ気難しい当主なのかと思えば、意外にもワイナリーの見学を受け入れており、在庫状況にもよりますが現地で購入することも可能(1組1本限り)です。
日本ワインに新たな風を吹き込んだ小布施ワイナリー。
一度はドメーヌを訪れて、そのワイン造りの哲学に触れてみたいものですね。
運がよければ、曽我氏の想いの詰まったワインを醸造所で入手できるかもしれません。
電話番号 Google map 営業時間9:00~16:00(販売は17:00まで) 定休日水曜日、木曜日、祝日 備考駐車場:有
【あのエッセイスト・玉村豊男が手掛ける】
ヴィラデストワイナリー
画像出典:※Instagram @hkazuyokoma さんより
著書「パリ旅の雑学ノート」や「ロンドン旅の雑学ノート」で有名な、ワインや食に造詣の深いエッセイストの玉村豊男氏が手掛けるワイナリー。
玉村氏が1991年に小県郡東部町(現・東御市)に移住し、野菜やハーブの栽培を行う農園「ヴィラデスト」をスタートしたのがワイナリーのルーツ。
少しずつワイン用のブドウ樹を植樹していき、2003年に「ヴィラデストワイナリー」を創業するに至ります。
「自分が飲みたいワインを造りたい」という想いと共に、この地の風土を最大限に引き出したワイン造りを目指す、日本でも有数のワイナリーです。
併設されたカフェでは、ワイナリー内で収穫された野菜に加え、地元のさまざまな食材を用いた料理を楽しむことができるのも魅力。
ワインと料理を堪能したら、ワイナリー内の手入れの行き届いたファームガーデンを散策するのもおすすめです。
電話番号 Google map 営業時間10:00~17:00 定休日無休 ※カフェは水曜日(3月、12月は火曜日も)クローズ
【休業】12月下旬~2月末 備考駐車場:有
【観光にも最適】
その他のエリア
日本のワイン産地というと、これまでご紹介してきた山梨県や長野県、寒い地域などが有名ですが、その他の地域、とりわけ少し暖かいエリアでも気候に適したブドウ品種でワイン造りが盛んに行われています。
最後にご紹介するのは、温暖な気候でレジャーにもおすすめのワイナリーをご紹介いたします。
【レジャーからウェディングまで】
中伊豆ワイナリーシャトーT.S.(静岡県)
画像出典:※Instagram @kyoninoue さんより
広大な自社畑を持ち、富士山を一望出来る中伊豆ワイナリーシャトーT.S.。
ワイナリーは、巨大な複合施設である中伊豆ワイナリーヒルズ内にあり、ワインショップや試飲コーナーに加え、ホテルやスポーツ施設まで備えているので、数日の滞在を予定して訪れるのがよいでしょう。
温泉やスパ、乗馬まで楽しめるので、カップル、家族連れ問わず楽しめる充実の環境です。
また、結婚式場もあり、なんとブドウ畑で執り行うウェディングも可能。
大自然の中で、季節の風や光を感じながら行うセレモニーは、ワイン好きな方にはより思い出深いものになるでしょう。
電話番号 Google map 営業時間【平日】9:30~17:00
【土日・祝日】9:00~17:00
(※季節により変更あり) 定休日 備考駐車場:有
【出雲大社からすぐ!観光にも最適】
島根ワイナリー(島根県)
画像出典:※Instagram @toa.bicycle.club さんより
出雲大社にほど近い、島根ワイナリー。
この周辺は、全国でも有数のハウスブドウの産地で、島根ワイナリーは、地元の良質なブドウを活かそうと1986年に創設されました。
ワイン醸造館と呼ばれる、ワインの製造工程を一通り見ることができる施設もあり、ほかでは見ることのできない設備なども見学することができます。
試飲即売館フロアの一画に2017年にオープンした「ワインバル バッカス」では、無料試飲では提供されない上級ワインも、有料で少しずつテイスティングできるのもうれしいポイント。
また、ワイナリー内の「バーベキューハウス シャトー弥山」では、最高級の「しまね和牛」をバーベキュースタイルで味わうことができます。
しまね和牛は、きめ細やかな霜降りと深いコクが特徴の島根県のブランド牛。
地元でも限られたお店でしか提供されておらず、ワイナリーを訪れた際には、ぜひワインと一緒に味わってください。
電話番号 Google map 営業時間9:30~16:30(※施設によって異なります) 定休日年中無休 備考駐車場:有
【3年連続で最高評価5つ星を獲得】
安心院(あじむ)葡萄酒工房(大分県)
画像出典:※Instagram @chuwacorp さんより
焼酎「いいちこ」で有名な三和酒類を源流に持つ、安心院(あじむ)葡萄酒工房。
1974年に三和酒類が「アジムワイン」の生産を開始し、現ワイナリーの歴史がスタート。
その後、2001年に名称を安心院葡萄酒工房として、新たなスタートを切りました。
現在は、日本ワインアワード(日本のワイナリーの格付け)において、2019年から3年連続で、最高評価である5つ星を獲得する名実ともに国内トップクラスのワイナリーとされています。
非常に高品質で国内外のコンクールで数多くの受賞歴を誇り、2016年の日露首脳会談では、安倍首相とプーチン大統領の乾杯に、安心院酒工房のスパークリングワインが供されたエピソードも。
ですが、非常にリーズナブルな価格帯が中心で、2,000~4,000円前後で買えるのは大変魅力的です。
また、この地域はグリーンツーリズムにも力を入れており、農業体験を通してこの土地と人々の魅力を発信しています。
ワイン造りも同じ農業。
ワイナリー訪問と合わせてさまざま農業体験をすれば、ワイン造りがより身近なものに感じられるのではないでしょうか。。
電話番号 Google map 営業時間9:00~16:00(※園内見学は17:00まで) 定休日火曜日(※祝日の場合は営業)、年末年始 備考駐車場:有
旅の目的地はワイナリー
この記事では、日本ワインと国産ワインの違いに始まり、北から南まで日本を代表するワイナリーをご紹介してまいりました。
地域ごと、ワイナリーごとの特色、魅力を感じていただけましたでしょうか。
近年ますます注目を集める日本ワイン。
少し足を延ばせば、現地でその土地の風土を感じながらそのワインを楽しめるのは、日本に住む私たちの特権ですね。
ですが、残念なことに現在は新型コロナウィルスの影響により、遠出をすることが憚られる状況が続いています。
近い将来、感染状況も落ち着いて旅行を検討する際に、この記事でご紹介したワイナリーが、みなさんの旅の目的地のご参考になれば幸いです。
画像出典:※Instagram @tamayan_403_rjgg さんより
1988年創業の千歳ワイナリー。
このワイナリーの始まりは、「アイヌの不老長寿の果物」として北海道に分布する、ブルーベリーに似た果物であるハスカップを使用したフルーツワインでした。
その後、ピノ・ノワール(赤ワイン用)とケルナー(白ワイン用)というブドウ品種をメインに栽培し、北の大地の冷涼な気候を反映したエレガントで高品質なワインを生み出しています。
現在ワイナリーを運営するのは、三澤計史氏。
三澤氏は、後ほどご紹介する山梨県のグレイスワインを運営する三澤家のご子息で、遠く離れた地で醸造家の血が脈々と引き継がれています。
見学ツアー、テイスティングにはそれぞれ無料と有料がありますので、興味に合わせて参加するとよいでしょう。
ただし、前日までの予約が必要なのでご注意ください。
【車】道央道「千歳IC」より約15分、道東道千歳「東IC」より約20分
【電車】JR千歳線「千歳駅」より徒歩10分
【バス】JR千歳線「千歳駅」よりバス(千歳市民病院行き12番)で「高台1丁目」下車後すぐ
【11月~3月】土日、祝日
【温泉郷に佇む】
仙台秋保(あきう)ワイナリー(宮城県)
画像出典:※Instagram @akiuwinery さんより
仙台秋保(あきう)ワイナリーは、2015年にオープンした比較的新しいワイナリー。
東日本大震災後、地域の復興・振興を目的としたビジネスに取り組み、
山と海の幸に恵まれた宮城県は食材の宝庫と言われ、秋保ワイナリーも「究極のマリアージュは産地にあり」をコンセプトに、この地のテロワールを反映したワイン造りを追求しています。
ワイナリーにはショップ・カフェも併設されているのに加え、敷地内ではバーベキュー(食材セット)が楽しめるので、夏場に家族で訪れればよい思い出の一コマになりますね。
また、仙台の奥座敷、奥州三名湯の1つである秋保温泉にほど近く、周辺の観光もあわせてぜひ訪れたいワイナリーです。
【日本屈指のブドウ産地】
高畠ワイナリー(山形県)
画像出典:※Instagram @takahatawinery さんより
フルーツ王国山形県の中でも、優れたブドウ産地として知られる高畠町。
食用に加え、ワインに使用されるシャルドネ、デラウェア品種の出荷量は、町としては日本一を誇ります。
高畠ワイナリーは1990年の設立以来、掲げるコンセプトは「100年かけても世界の銘醸地に並ぶプレミアムワイナリーとなること」。
高品質なワインの生産だけにとどまらず、このワイナリーだからこそ提供できる、ワインを通した「体験・経験」をお客様へ届けることを目指しています。
併設するショップでは、常時試飲できるワインが4~5種類用意されているので、好みの1本がきっと見つかります。
また、地元で収穫されたさくらんぼや桃を使用したフルーツワインも販売されており、お土産にも最適です。
【4月~12月】9:00~17:00
【1月~3月】水曜日
【東京近郊で活発化するワイン造り】
関東エリア
関東近県ならまだしも、都内にワイナリーがあると聞くと驚かれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は、2014年に東京初のワイナリーが誕生したのち、その数は徐々に増え始め現在では7つのワイナリーが都内に居を構えています。
そして近年、多くの醸造家たちが、東京近郊にワイン造りの可能性を求めて集まり始めているのです。
ここでは、東京都、神奈川県の規模は小さいながら注目を集める新興ワイナリーを1軒ずつと、栃木県の歴史あるワイナリーを1軒ご紹介いたします。
【東京初のワイン醸造所】
東京ワイナリー(東京都)
画像出典:※Instagram @tomtomzx さんより
東京で初めてのワイナリーとして2014年にオープンして以来、注目を集める東京ワイナリー。
東京の農業を広めたいという想いから、もともと野菜の仲卸で働いていた越後屋美和氏が創業しました。
「東京産のワインと野菜を合わせて食す」、というシンプルなコンセプトを東京に住む人たちにこそ体験してほしいと考えています。
ワイナリーでは、ワインの量り売りも行っており、1本だとちょっと多い、少し試してみたいといった場合に重宝します。
ホームページ上で「本日の量り売り」が掲載されているので、興味のある方はチェックしてみてくださいね。
また、土日にはランチ営業しているので、週末にちょっとした観光気分を味わうのにぴったりです。
【電車】西武鉄道「大泉学園駅」より徒歩10分
【日本最小のワイナリーが造る”ハマワイン”】
横濱ワイナリー(神奈川県)
画像出典:※Instagram @thamawine さんより
日本で一番小さな、一番海に近いワイナリーとして、2017年にオープンした横濱ワイナリー。
ワインは「ハマワイン」という名称で販売され、カモメや船をあしらったラベルが港町にぴったりで、親しみやすさを感じさせます。
ラインナップは、軽やかなものからしっかりしたものまで揃っていますが、共通するのは優しい飲み口。
飲み疲れせず、和食からフレンチ、中華までさまざまなジャンルに合わせることができます。
店舗では、常時10種類以上のアイテムが試飲でき、簡単なおつまみも用意されています。
また、予約制の見学ツアー(有料)は、ワイナリーの代表自身が案内するので、ワイン造りに対する熱い想いを感じることができるでしょう。
【電車】みなとみらい線「元町・中華街駅」元町口(5番)出口より徒歩3分
【平日】14:00~21:00 (購入、飲食ともにL.O.20:00)
【土曜日】11:00~21:00(購入、飲食ともにL.O.20:00)
【日曜・祝日】11:00~18:00
【生徒たちの手作業が支える】
ココ・ファーム・ワイナリー(栃木県)
画像出典:※Instagram @thamawine さんより
ココ・ファーム・ワイナリーでは、ブドウ栽培やワイン造りの一部を、知的障がい者の支援施設「こころみ学園」の生徒たちが支えています。
このワイナリーの歴史は1950年代まで遡り、特別支援学級の中学生たちと、その担任教師だった川田昇氏によって開墾されたブドウ畑がルーツです。
彼らは、ブドウ栽培からさらにワイン造りを目指し、1980年にココ・ファーム・ワイナリーが設立されました。
地味で手の抜けない作業ばかりのワイン造りにおいて、生徒たちの実直な仕事に対する姿勢が大いに発揮され、非常に高品質なワインが生まれました。
そして、2000年の九州沖縄サミットや2008年の洞爺湖サミット、2016年の広島G7外相会合でも海外の要人たちをもてなす日本ワインとして、ココ・ファーム・ワイナリーのワインが選ばれたのです。
ワインだけでなく、その背景にあるストーリーまで味わい深いココ・ファーム・ワイナリー。
いろいろな人たちの想いの詰まったワインを、ぜひ現地で体験してみてください。
【車】北関東自動車道「足利IC」より約10分
【電車】JR両毛線「足利駅」よりタクシーで約18分、東武伊勢崎線「足利市駅」よりタクシーで約20分
【バス】あしバスアッシー行道線「ココファーム入口」より徒歩約7分(※土日祝日運休が4便ありますのでご注意ください)
1月第3月曜日~金曜日まで5日間
【日本のワイン造り発祥の地】
山梨県
日本のワイン造りがスタートした地であり、もっとも多くのワイナリーが集結する山梨県。
大手酒類メーカーから、小規模ながら長い歴史を持つ家族経営まで、80を超えるワイナリーが軒を連ねています。
その理由は、ブドウ栽培に適した気候にあります。
山梨県は周囲を山々に囲まれているため、梅雨や台風の影響が少なく、日照量が豊富。
そして、盆地気候のため昼夜の寒暖差が大きく、ブドウの生育に適した条件が揃っているのです。
日本が誇る銘醸地、山梨県を代表するワイナリー3軒をさっそく見ていきましょう。
【ブドウを造り続けて100年以上】
サントリー 登美の丘ワイナリー
画像出典:※Instagram @trryyyooo さんより
サントリーが運営するこちらのワイナリーは、富士山を望む甲府盆地、登美の丘(とみのおか)にあります。
ブドウ造りの歴史は、1909年まで遡る歴史あるワイナリーです。
カベルネ・ソーヴィニョンやメルロー、シャルドネといった国際品種を使用したワインは、国内外で高い評価を得てきました。
一方で、甲州という日本固有のブドウ品種の可能性に注目しており、更なる日本ワインの進化を目指しています。
ワイナリーツアーでは醸造所に加え、一部のブドウ畑は見学も可能で、実際にワインに使用されるのブドウ樹を間近に見ながら散策できます。
また、併設されているショップでは、ワインやオリジナルグッズの購入はもちろん、有料のテイスティングカウンターもあり、数十種類のアイテムを気軽に試飲することも可能です。
【車】中央道「双葉スマートIC」から約10分、「甲府昭和IC」から約25分または「韮崎IC」から約10分
【電車】JR中央本線「甲府駅」よりタクシーで約30分または「竜王駅」よりタクシーで約15分
【休業】1月~3月
【日本ワイン初の金賞を獲得】
中央葡萄酒 [グレイスワイナリー]
画像出典:※Instagram @mitumitu422 さんより
1923年に初代の三澤長太郎氏が、山梨県の勝沼の地に創業した家族経営のワイナリー。
甲州という日本固有のブドウ品種のポテンシャルを追求し、特に優れた畑から「グレイス甲州菱山畑」、「グレイス甲州鳥居平畑」という傑作を生み出しました。
一方で、メルローやシャルドネといった国際品種でもトップクラスの「キュヴェ三澤」を作り出し、注目を集めます。
そして2014年、世界最大のワインコンクールである”Decanter World Wine Amards”で、日本ワイン初の金賞を受賞する快挙を達成。
その後、グレイスワインの甲州は6年連続で金賞を受賞し、日本ワインの持つ実力を世界史に示しました。
現在は、フランスなどの海外で醸造を学んだ現当主の長女、三澤彩菜氏がワイナリーの運営にあたり、類まれなワインを生み出し続けています。
残念ながら醸造所やブドウ畑の見学は行っておりませんが、ショップとテイスティングスペースがありますので、日本最高峰の甲州を体験しにワイナリーを訪れたいですね。
【電車】JR中央本線「勝沼ぶどう郷駅」よりタクシーで約10分
【有形文化財が出迎える】
甲斐ワイナリー
画像出典:※Instagram @hisakazu2147 さんより
天保5年(1834年)に創業の、酒造業にルーツを持つ甲斐ワイナリー。
規模は小さく1.7ヘクタールほど(サッカーコート2.5面分)の自社農園で、甲州やメルローといった山梨県の主要品種を栽培。
1,000円台と手ごろな価格帯からラインナップするするワインは、「すべての人にワインを楽しんでもらいたい」という信念を反映しています。
また、ワイナリー内には、国登録有形文化財に指定される築200年の土蔵を改装したカフェもあり、こちらの全アイテムを試飲できるほか、コーヒーやケーキなども充実。
江戸の歴史を感じながら、旅の途中でほっと一息つけるワイナリーです。
【更なる活性化を目指すワイン産地】
長野県
近年、行政の支援や日本ワインブームの後押しもあり、新興のワイナリーが数多く参入する長野県。
地域活性化のため、県を挙げて「信州ワインバレー構想」を立ち上げ、一大ワイン産地として更なるワイン産業の推進を図っています。
そんな活気あふれる長野県のワイナリーからは、現在の基盤を築いてきたと言えるパイオニア的なトップワイナリーをご紹介いたします。
【世界レベルのメルローを生み出す】
シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原ワイナリー
画像出典:※Instagram @hchateaumercian さんより
シャトー・メルシャンの顔とも言える、桔梗ヶ原ワイナリー。
国際品種メルローの栽培が国内でスタートした地とされる、長野県塩尻市桔梗ヶ原に2018年にオープンしました。
メルシャンが世界に誇る桔梗ヶ原メルローを生み出した土壌を活かして、日本最高峰のワイン生産に特化しています。
他のワイナリーと違って一般公開は年に数回のみすが、ワイナリーツアー(要予約、有料)やテイスティング(予約不要、有料)、ワイン販売も行っていますので、スケジュールが合えばぜひ訪れて、日本トップクラスのワインを体感してみてください。
【日本ワインの革命児】
小布施ワイナリー [ドメイヌ・ソガ]
画像出典:※Instagram @hoasamamisarak さんより
日本ワインの中でも、カルト的な人気を誇る小布施ワイナリー。
とりわけ「ドメイヌ・ソガ」という銘柄が有名で、入荷しても即完売してしまうほどの人気です。
1942年創業の同ワイナリーを現在運営するのは、4代目曽我彰彦氏。
従来は無理と言われていたブドウ栽培の手法や醸造のアプローチなどに取り組み、既存の概念を打ち破るワイン造りで日本ワインの「革命児」と呼ばれています。
大量生産とは距離を置いて、「オンラン販売不可」、「特約店のみで入手可能」という徹底したポリシーを貫いています。
さぞ気難しい当主なのかと思えば、意外にもワイナリーの見学を受け入れており、在庫状況にもよりますが現地で購入することも可能(1組1本限り)です。
日本ワインに新たな風を吹き込んだ小布施ワイナリー。
一度はドメーヌを訪れて、そのワイン造りの哲学に触れてみたいものですね。
運がよければ、曽我氏の想いの詰まったワインを醸造所で入手できるかもしれません。
【あのエッセイスト・玉村豊男が手掛ける】
ヴィラデストワイナリー
画像出典:※Instagram @hkazuyokoma さんより
著書「パリ旅の雑学ノート」や「ロンドン旅の雑学ノート」で有名な、ワインや食に造詣の深いエッセイストの玉村豊男氏が手掛けるワイナリー。
玉村氏が1991年に小県郡東部町(現・東御市)に移住し、野菜やハーブの栽培を行う農園「ヴィラデスト」をスタートしたのがワイナリーのルーツ。
少しずつワイン用のブドウ樹を植樹していき、2003年に「ヴィラデストワイナリー」を創業するに至ります。
「自分が飲みたいワインを造りたい」という想いと共に、この地の風土を最大限に引き出したワイン造りを目指す、日本でも有数のワイナリーです。
併設されたカフェでは、ワイナリー内で収穫された野菜に加え、地元のさまざまな食材を用いた料理を楽しむことができるのも魅力。
ワインと料理を堪能したら、ワイナリー内の手入れの行き届いたファームガーデンを散策するのもおすすめです。
【休業】12月下旬~2月末
【観光にも最適】
その他のエリア
日本のワイン産地というと、これまでご紹介してきた山梨県や長野県、寒い地域などが有名ですが、その他の地域、とりわけ少し暖かいエリアでも気候に適したブドウ品種でワイン造りが盛んに行われています。
最後にご紹介するのは、温暖な気候でレジャーにもおすすめのワイナリーをご紹介いたします。
【レジャーからウェディングまで】
中伊豆ワイナリーシャトーT.S.(静岡県)
画像出典:※Instagram @kyoninoue さんより
広大な自社畑を持ち、富士山を一望出来る中伊豆ワイナリーシャトーT.S.。
ワイナリーは、巨大な複合施設である中伊豆ワイナリーヒルズ内にあり、ワインショップや試飲コーナーに加え、ホテルやスポーツ施設まで備えているので、数日の滞在を予定して訪れるのがよいでしょう。
温泉やスパ、乗馬まで楽しめるので、カップル、家族連れ問わず楽しめる充実の環境です。
また、結婚式場もあり、なんとブドウ畑で執り行うウェディングも可能。
大自然の中で、季節の風や光を感じながら行うセレモニーは、ワイン好きな方にはより思い出深いものになるでしょう。
【土日・祝日】9:00~17:00
(※季節により変更あり)
【出雲大社からすぐ!観光にも最適】
島根ワイナリー(島根県)
画像出典:※Instagram @toa.bicycle.club さんより
出雲大社にほど近い、島根ワイナリー。
この周辺は、全国でも有数のハウスブドウの産地で、島根ワイナリーは、地元の良質なブドウを活かそうと1986年に創設されました。
ワイン醸造館と呼ばれる、ワインの製造工程を一通り見ることができる施設もあり、ほかでは見ることのできない設備なども見学することができます。
試飲即売館フロアの一画に2017年にオープンした「ワインバル バッカス」では、無料試飲では提供されない上級ワインも、有料で少しずつテイスティングできるのもうれしいポイント。
また、ワイナリー内の「バーベキューハウス シャトー弥山」では、最高級の「しまね和牛」をバーベキュースタイルで味わうことができます。
しまね和牛は、きめ細やかな霜降りと深いコクが特徴の島根県のブランド牛。
地元でも限られたお店でしか提供されておらず、ワイナリーを訪れた際には、ぜひワインと一緒に味わってください。
【3年連続で最高評価5つ星を獲得】
安心院(あじむ)葡萄酒工房(大分県)
画像出典:※Instagram @chuwacorp さんより
焼酎「いいちこ」で有名な三和酒類を源流に持つ、安心院(あじむ)葡萄酒工房。
1974年に三和酒類が「アジムワイン」の生産を開始し、現ワイナリーの歴史がスタート。
その後、2001年に名称を安心院葡萄酒工房として、新たなスタートを切りました。
現在は、日本ワインアワード(日本のワイナリーの格付け)において、2019年から3年連続で、最高評価である5つ星を獲得する名実ともに国内トップクラスのワイナリーとされています。
非常に高品質で国内外のコンクールで数多くの受賞歴を誇り、2016年の日露首脳会談では、安倍首相とプーチン大統領の乾杯に、安心院酒工房のスパークリングワインが供されたエピソードも。
ですが、非常にリーズナブルな価格帯が中心で、2,000~4,000円前後で買えるのは大変魅力的です。
また、この地域はグリーンツーリズムにも力を入れており、農業体験を通してこの土地と人々の魅力を発信しています。
ワイン造りも同じ農業。
ワイナリー訪問と合わせてさまざま農業体験をすれば、ワイン造りがより身近なものに感じられるのではないでしょうか。。
旅の目的地はワイナリー
この記事では、日本ワインと国産ワインの違いに始まり、北から南まで日本を代表するワイナリーをご紹介してまいりました。
地域ごと、ワイナリーごとの特色、魅力を感じていただけましたでしょうか。
近年ますます注目を集める日本ワイン。
少し足を延ばせば、現地でその土地の風土を感じながらそのワインを楽しめるのは、日本に住む私たちの特権ですね。
ですが、残念なことに現在は新型コロナウィルスの影響により、遠出をすることが憚られる状況が続いています。
近い将来、感染状況も落ち着いて旅行を検討する際に、この記事でご紹介したワイナリーが、みなさんの旅の目的地のご参考になれば幸いです。