世界中のワイン愛好家たちを惹きつけるワイン、「ヴォーヌ・ロマネ」
ブルゴーニュ最上のアぺラシオンとされ、世界最高峰のピノ・ノワールの産地とも言われており、世界中のワイン愛好家たち憧れの銘醸地と言っても過言ではないでしょう。

1本の価格が300万円を超える、世界一高価なワイン「ロマネ・コンティ」も、このアぺラシオンから生み出されており、ヴォーヌ・ロマネには、「ブルゴーニュの丘の中心に輝く宝石」「神に愛された村」といった最上級の賛辞が贈られています。

この記事では、ワインラヴァーたちの心を掴んで離さない、ヴォーヌ・ロマネの魅力を深く掘り下げていきたいと思います。

※この記事は、ソムリエが監修を行っております。(最終更新日:2021/12/13)

ワイン愛好家を魅了し続ける銘醸地ヴォーヌ・ロマネはどんなところ?

ヴォーヌ・ロマネは、コード・ドール(黄金の丘)の北側、コート・ド・ニュイ地区のほぼ中央に位置する「ヴォーヌ・ロマネ村」「フラジェ・エシェゾー村」にまたがるアぺラシオン。

偉大なワインが生まれるヴォーヌ・ロマネの歴史は、中世まで遡ります。
890年ごろ、サン・ヴィヴァン修道院が設立され、この地一帯を所有していました。

12世紀に入ると、フラジェ・エシェゾー村では、シトー派の修道士たちが開墾し、サン・ヴィヴァン修道院へと寄進。
このころより、ヴォーヌ・ロマネの歴史が始まりました。

17世紀には、コンティ公が取得した畑が「ロマネ・コンティ」と呼ばれるようになり、ヴォーヌ・ロマネのワインが高い評価を得始めます。
また、作家のクールペテは、「この村(ヴォーヌ・ロマネ)には普通のワインはない」と言い切り、その名声は現代まで変わることはありませんでした。

ヴォーヌ・ロマネの味わいの特徴は?

歴史的に見ても、ヴォーヌ・ロマネが優れたワインを生み出す銘醸地だということがわかりましたが、具体的に立地気候を通して、その味わいを詳しく見ていきましょう。

コート・ド・ニュイで造られるワインは、ヴォーヌ・ロマネを境に、北と南で特徴が異なっています
北側では、繊細でエレガント、酸のくっきりとしたワインが、南側では、骨格のしっかりとした力強いワインが生まれます。
中間に位置するヴォーヌ・ロマネでは、これらの特性をバランスよく兼ね備えたワインとなるのです。

また、気温もピノ・ノワールの栽培に最適とされる14~16℃を保ち、村全体が東南を向いた傾斜となっており、どの位置の畑でも十分に日照を得られるので、優れた品質のブドウが造られるのです。
さらに、ヴォーヌ・ロマネの土壌は、粘土質と石灰質が絶妙なバランスからできており、エレガントさと力強さが高い次元で両立したワインが生まれます。

その香りは、チェリーやラズベリーといった赤い果実、そしてスミレのアロマに始まり、ややスパイスがかった妖艶なもの
ビロードのように滑らかで気品高く、豊かな果実味と心地よいタンニン(渋み)が舌の上で溶け合います。

ロマネ・コンティをはじめとする極上の畑

ヴォーヌ・ロマネには、8つのグラン・クリュがあり、その数はブルゴーニュの中でもトップクラス。
しかも、ロマネ・コンティをはじめ、そのすべてがワイン愛好家たち垂涎の畑であり、世界でもっとも有名な銘醸地とされる所以でもあります。

また、通常ブルゴーニュ地方では、遺産相続などで、所有する畑が複数の生産者に分割されることが多いのですが、ヴォーヌ・ロマネは、4つもの単独所有(モノポール)の畑があります。

ヴォーヌ・ロマネ
8つのグラン・クリュ(特級畑)

✓ロマネ・コンティ Romanee Conti
世界最高峰にして、最高級とされる赤ワイン。
ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ(DRC)社が、単独所有(モノポール)する畑。
その味わいは、あらゆる要素が完璧なバランスをとっており、「完全な球体」とも表現されます。
年間の生産本数は、わずか6,000本程度で、世界中の愛好家たちの垂涎の的。

✓ラ・ターシュ La Tache
こちらも、DRC社が単独所有する畑。
ロマネ・コンティよりもパワフルな味わい。
凝縮した果実味と、しなやかながら堅牢なタンニンが魅力で、長期熟成向きのワインです。

✓リシュブール Richebourg
果実味、タンニンともにしっかりと感じられ、スパイスがかった複雑な香りが特徴。
非常に魅惑的なスタイルで、うっとりとするような舌触りが魅力です。

✓ロマネ・サン・ヴィヴァン Romanee Saint Vivant
12世紀ごろに、サン・ヴィヴァン修道院に寄進された畑で、フランス革命まで、修道院によって所有されていました。
華やかな香りと上品な酸が特徴で、みずみずしくエレガントなスタイル。

✓エシェゾー Echezeaux
もともとは、エシェゾー・デュ・ドシュという区画(リュー・ディ)のみでしたが、1937年のAOC制定に際し、周辺の10の区画が統合され現在に至ります。
なので、様々な向きの斜面、標高、傾斜、土壌から成り、生産者と区画によって個性が大きく異なるのが特徴です。

✓グラン・エシェゾー Grands Echezeaux
エシェゾーの東側に接する畑。
もっとも優れているとされる区画(リュー・ディ)、エシェゾー・デュ・ドシュに隣接します。
粘土質土壌由来の力強く、芳醇な味わいが特徴です。

✓ラ・ロマネ La Romanee
ロマネ・コンティに隣接する畑。
その広さはわずか0.85ヘクタールで、フランス最小のAOC。
コント・リジェ・ベレール家の単独所有畑で、ロマネ・コンティ同様、ワインコレクターたちが追い求める希少ワインです。

✓ラ・グランド・リュ La Grande Rue
「偉大な道」を意味し、ロマネ・コンティとラ・ターシュに挟まれた絶好の場所に位置する畑。
以前はプルミエ・クリュ(1級畑)でしたが、1992年に念願のグラン・クリュ(特級畑)への昇格を果たしました。
ラマルシュ家の単独所有畑です。

代表的なプルミエ・クリュ(1級畑)

✓レ・ボー・モン Les Beaux Monts
「美しい山」を意味し、ヴォーヌ・ロマネ村とフラジェ・エシェゾー村にまたがる畑。
華やかで滑らかな味わいが魅力。

✓オー・ブリュレ Aux Brulees
リシュブールに隣接する優良畑。
良く熟したブドウから濃厚で豊潤なワインが生まれます。

✓レ・スショ Les Suchots
グラン・クリュに囲まれる最大の1級畑。
豊かな果実味と、きめ細かいタンニンのバランスがよく、ヴィンテージによっては、グラン・クリュに匹敵する品質のワインを生み出します。

✓レ・ショーム Les Chaumes
ラ・ターシュの南側に広がる1級畑。
しなやかでありながら、芯の通ったしっかりと舌ストラクチャーを持ち合わせるワインを生み出します。

おすすめ生産者のグラン・クリュとプルミエ・クリュをご紹介

ここからは、ヴォーヌ・ロマネを代表する生産者のグラン・クリュとプルミエ・クリュをご紹介いたします。

グラン・クリュ5選

まずは、グラン・クリュ。
ブルゴーニュ・ラヴァーなら、ぜひ押さえておきたい生産者のものをピックアップいたしました。

Richebourg Grand Cru 2018
リシュブール グラン・クリュ 2018

¥49,632 (税込)/750ml 

生産者:グロ・フレール・エ・スール Domaine Gros Frere et Sour
生産地:フランス / ブルゴーニュ / ヴォーヌ・ロマネ
品種:ピノ・ノワール 100%

ヴォーヌ・ロマネの名門、グロ一族。
グロ・フレール・エ・スールは一族の中でも、とても力強く、クラシカルなワイン造りを行っています。
このドメーヌが生産するリシュブールは、年間わずか3,000本。
見つけたらぜひ入手したいワインの1つです。

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Romanee Saint Vivant Grand Cru 2018
ロマネ・サン・ヴィヴァン グラン・クリュ 2018

¥99,000 (税込)/750ml 

生産者:ジャン・ジャック・コンフュロン Jean Jacques Confuron
生産地:フランス / ブルゴーニュ / ヴォーヌ・ロマネ
品種:ピノ・ノワール 100%

ヴォーヌ・ロマネの大ドメーヌと言われたシャルル・ノエラからこの畑を受け継いだ、ジャン・ジャック・コンフュロン。
徹底した低収量から生み出される類をみない凝縮感が感じられる稀有なワインです。

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Echezeaux Grand Cru2019
エシェゾー グラン・クリュ2019

¥33,000 (税込)/750ml 

生産者:モンジャール・ミュヌレ Mongeart Mugneret
生産地:フランス / ブルゴーニュ / ヴォーヌ・ロマネ
品種:ピノ・ノワール 100%

ドメーヌの歴史は、15世紀まで遡る由緒ある家系、モンジャール・ミュヌレ。
エシェゾー最大の所有者であり、もちろんドメーヌのフラッグシップは、このエシェゾー。
樹齢が20~60年にも達する古樹から造られ、非常に凝縮した果実味と複雑な香りが魅力です。

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La Romanee Grand Cru 2019
ラ・ロマネ グラン・クリュ 2019

¥715,000 (税込)/750ml 

生産者:コント・リジェ・ベレール Comte Liger-Belair
生産地:フランス / ブルゴーニュ / ヴォーヌ・ロマネ
品種:ピノ・ノワール 100%

僅か0.85ヘクタール(サッカーコート1面強)の畑から、年間4,000本程度しか生産されないレア・ワイン。
その希少性だけでなく、ロマネ・コンティに匹敵する味わいと言われ、世界中のコレクターたちが追い求めるのもうなずけます。

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La Grande Rue 2018
ラ・グランド・リュ 2018

¥79,900 (税込)/750ml 

生産者:二コル・ラマルシュ Nicole Lamarche
生産地:フランス / ブルゴーニュ / ヴォーヌ・ロマネ
品種:ピノ・ノワール 100%

20世紀の初頭、樽職人だったアンリ・ラマルシュと、シャンボールミュジニー出身のマリー・グリヴレが結婚し、創立されました。
現在まで、歴史あるラ・グランド・リュを守り続けています。
現在は、娘の二コルがドメーヌを継ぎ、名称が、「フランソワ・ラマルシュ」から、「二コル・ラマルシュ」に変わり、ドメーヌに新たな風を吹き込んでいます。

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プルミエ・クリュ3選

ヴィンテージによってはグラン・クリュを凌ぐと言われる、ヴォーヌ・ロマネのプルミエ・クリュ。
名門と言われる優良ドメーヌをご紹介いたします。

Vosne Romanee 1er Cru Les Petits Monts 2019
ヴォーヌ・ロマネ
プルミエ・クリュ レ・プティ・モン 2019

¥22,000 (税込)/750ml 

生産者:ロベール・シリュグ Robert Sirugue
生産地:フランス / ブルゴーニュ / ヴォーヌ・ロマネ
品種:ピノ・ノワール 100%

クラシックな手法でエレガントなワインを作り出す、ヴォーヌ・ロマネ村注目の生産者。
こちらのレ・プティ・モンは、リシュブールに隣接する1級畑。

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Vosne Romanee 1er Cru Les Beaux Mont 2018
ヴォーヌ・ロマネ
プルミエ・クリュ レ・ボー・モン 2018

¥30,800 (税込)/750ml 

生産者:ジャン・グリヴォ Jean Grivot
生産地:フランス / ブルゴーニュ / ヴォーヌ・ロマネ
品種:ピノ・ノワール 100%

ヴォーヌ・ロマネをを代表する老舗名門ドメーヌ。
1級畑ながら、ジャン・グリヴォの看板ともいえるワインです。

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Vosne Romanee 1er Cru Les Chaumes 2019
ヴォーヌ・ロマネ レ・ショーム 2019

¥30,800 (税込)/750ml 

生産者:フィリップ・パカレ Philippe Pacalet
生産地:フランス / ブルゴーニュ / ヴォーヌ・ロマネ
品種:ピノ・ノワール 100%

「自然派ワインの雄」と言われる、フィリップ・パカレ。
気品高く、エレガントなスタイルで、ヴォーヌ・ロマネの魅力を存分に表現しています。

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終わりに

いかがでしょうか。

ヴォーヌ・ロマネの歴史や世界に誇るグラン・クリュ、そして代表的な生産者のワインを見てまいりました。
ワイン好きなら避けては通れないヴォーヌ・ロマネ。
その魅力を感じていただければと思います。

また、ワインの奥深い魅力をもっと知りたい、追及したいという方におすすめしたいのが、「ワインが主役」をコンセプトに掲げるレストラン、レヴェランス R(アール)
ワインの古酒(20年~30年熟成したもの)をメインに扱い、料理とのマリアージュを提案します。

画像出典:※Instagram @reverence_r_ ​​さんより

なかなか出会うことのできない熟成したワイン1本を、料理と共に時間をかけてじっくりと味わう愉しみ。
レストランでありながら、ワインスクールのように、さまざまなワインの変化を体験できる、稀有な空間です。

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