ワインを楽しむ上で、料理との関係は切っても切り離せません。
この2つの関係を語るうえで、「マリアージュ」という考えがあります。
ワインと料理の「相性の良さ」を表し、ソムリエやワイン愛好家の間でも頻繁に使われる言葉です。
お互いがお互いを高め合い、「1+1」が2以上の味わいをもたらしてくれます。
ですが、ワインにふれ始めた人にとっては、雰囲気はつかめるけど、何だかあいまいな表現に聞こえるでしょう。
この記事では、マリアージュの意味やワインペアリングとの違い、具体的なマリアージュの例をご説明し、実際に足を運んでいただきたいワインショップと至高のマリアージュが体験できるレストランまでご紹介いたします。
マリアージュとはどういう意味?
画像出典:※Instagram @salonevendredi さんより
もともとマリアージュとは、フランス語の「mariage」=「結婚」や「婚姻」、「組合せ」を意味する言葉です。
ワインの世界では、この意味から転じて、ワインと料理の「相性のよい組合せ」、「お互いを引き立て合う組合せ」を表すようになりました。
そして、その組合せから生まれる新たな味覚、体験も「マリアージュ」と呼びます。
相性の良いワインと料理の組合せを、マリアージュと表現するとは、ワイン大国であり、アムール(愛)の国フランスらしい表現ですね。
よく聞くペアリングとマリアージュは違う
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最近では、レストランなどで、コース料理に合わせたワインペアリングを用意しているところが増えていますが、ペアリングはマリアージュとは意味が異なります。
よく混同されがちですが、ペアリングとは、ワインと料理を「組合わせる」行為を指し、マリアージュとは、よい組合せ、そしてその結果生まれる味わい、体験を意味します。
つまり、ペアリングによってマリアージュが生まれるのです。
マリアージュを実践|コツと具体例をご紹介
それでは、実際にどのようなワインと料理の組合せがマリアージュとされるのでしょうか?
こちらでは、まず自宅でも試しやすい4つの「似た者どうし」の組合せをご紹介。
そして、一歩進んだ「反対の味覚」や「不足を補う」組合わせまでご説明いたします。
似た者どうしを組合せる
ワインと料理の似た要素を組合わせることで、お互いを引き立て合うマリアージュが生まれます。
4つの「似た者どうし」とは、「色」、「香り・風味」、「ボリューム(重さ)」、「産地」のこと。
特に最初の3つは、初心者でも失敗しにくい組合せなので、ぜひチャレンジしてみてください。
ワインと料理の色を合わせる(赤、白、ロゼ)
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マリアージュをもっとも簡単に試すことができるのは、ワインと料理の色を合わせることです。
例えば、「肉には赤ワイン」というイメージがあるかもしれませんが、色に注目することで、白ワインと豚や鳥の肉との相性の良さを発見できます。
- 赤ワイン:赤身の肉や、マグロなどの赤身の魚、ミートソースやラグー
- 白ワイン:魚介類、豚肉や鶏肉といった白身の肉、クリーム系のソース
- ロゼワイン:エビやカニといった甲殻類、サーモン、生ハムなど
香り・風味を合わせる
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ワインの香りに焦点を当てます。
白ワインの香りには種類によって、柑橘系やリンゴといった果物に始まり、清涼なハーブまでさまざまな香りが見つかります。
このようなワインには、レモンやライムを軽く絞ったカルパッチョや、ハーブを効かせた前菜などと合わせやすいです。
クミンを効かせた子羊のローストなどには、胡椒などのスパイシーな香りの赤ワインが最適。
デザートワインと呼ばれる甘口ワインには、チョコレートやタルトなどのスイーツを合わせると、相乗効果でより甘みを楽しめます。
ですが、こうしたワインの香りの表現は、初心者には難しいもの。
ワインショップやレストランでは、ソムリエに食べたいのもを伝えて、選んでもらいましょう。
ボリューム(重さ、ボディ)を合わせる
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ワインのボリューム(=重さ、ボディ)も料理との相性を考えるうえで、大切なポイントです。
よく赤ワインで使われる「フルボディ」という表現ですが、まさしくワインのボリュームの大きさ、ワインの重たさを表しています。
重厚なソースを使ったステーキには、どっしりとした赤ワインを、素材を活かしたライトな仕上がりの前菜などは軽やかなワインを合わせましょう。
また、同じ発想で、ワインと料理の「格」を合わせることも重要です。
サーロインやオマールエビ、フォアグラなどの高級食材を使用した料理には、やはりそれなりの高級なワインを合わせたほうが、マリアージュをより楽しめます。
同郷のワインと料理を合わせる
マリアージュの基本の1つとして、「同郷のものを合わせる」という組合せがあります。
例えば、ブルゴーニュ地方の郷土料理である「ブフ・ブルギニョン」(牛肉の赤ワイン煮)には、同じくブルゴーニュの赤ワインを合わせるのは有名なマリアージュの1つです。
長い年月をかけて育まれてきた郷土料理と、その地で生み出されるお酒の相性のよさは、自然なことなのでしょう。
反対の味覚を合わせる
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これまでは、色や香りなど「似たもの」を組合わせることによって生まれるマリアージュを見てきましたが、ここでは、正反対のものを合わせます。
さっそく具体例を挙げると、極甘口のワインと、塩気の強い青カビチーズの組合せです。
また、チーズたっぷりのピザにハチミツが添えられているのを見たことがある方も多いかもしれません。
この組合わせは、身近な例でいうとスイカと塩の組合わせと同じ考え方です。
塩分がスイカの甘みを際立たせて、より甘みを強く感じる現象。
人間の味覚は、2種類の味を同時に感じると、どちらか一方が引き立つ原理を利用しています。
足りないものを補う
最後にご紹介する組合せは、もともと料理にない味覚を、ワインで補う組合せです。
この組合わせは、ワインを味わいを料理の調味の一部として合わせます。
例えば、ワインの酸味を効かせるような組合せは、焼き魚にカボスなどの柑橘類を絞る感覚と同じです。
この発想で、料理に対してワインの果実味を加えたり、サシのたっぷりと入ったサーロインなどは、脂を洗い流してくれるタンニン(=渋味成分)豊かな赤ワインを組合わせたりします。
マリアージュ体験はここで
さまざまなワインと料理の組合せを見てまいりましたが、実際に試してみたくなった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここでは、手軽にワインと総菜(おつまみ)を合わせて購入できるショップや、ふらっと寄って気軽にワインと料理を楽しめるショップ兼バー、そして唯一無二のマリアージュを体験できる至高のレストランまでをご紹介いたします。
豊富なワインとおつまみが魅力
ワイン・マーケット・パーティー
画像出典:※Instagram @winemarketparty_yebisu さんより
約1,000種類に上る世界各国のワインを取り扱うワイン・マーケット・パーティー。
恵比寿ガーデンプレイスの地下に入り、たくさんの人々で賑わっています。
多種多様なワインに加え、各国の食材やおつまみが揃っているのが魅力です。
スタッフにはソムリエ資格取得者が多く、好みのワインとのマリアージュをその場で聞けるので、初心者でも安心して買い物ができます。
パリの名門レストランが手掛ける
レ・カーヴ・ド・タイユヴァン東京
画像出典:※Instagram @lescavesdetailleventtokyo さんより
パリの名門レストランであるタイユヴァンが監修するワインショップ、レ・カーヴ・ド・タイユヴァン東京。
厳しい基準でセレクトされた高品質なワインを購入できるだけでなく、グラスワインや一品料理お楽しめるカフェ、バーも併設。
日本橋高島屋に入っており、ショッピングの終わりに、気軽にマリアージュを楽しむのも、素敵な週末の過ごし方ではないでしょうか。
最高峰のマリアージュを体験
レヴェランス R(アール)
画像出典:※Instagram @reverence_r_ さんより
銀座・並木通り沿いに佇む、レヴェランス R(アール)。
こちらでは、「主役はワイン」をコンセプトに、ワインの古酒(20年~30年熟成したワイン)1本の変化をお楽しみいただきます。
時間と共に変化する香り、合わせる料理によっても異なる味わいを見せる古酒の奥深さ。
ワインの状態をみて、料理を微調整するというこだわりが生み出す、究極のマリアージュを体験いただけます。
終わりに
いかがでしたでしょうか。
マリアージュの意味に始まり、具体的な組合せ、ワインショップやレストランまでをご紹介してまいりました。
始めのうちは、少しつかみどころのない印象を持たれるかもしれませんが、いろいろと試していくうちに、「どんな組合せがいいか」が体感的にわかってくるようになります。
ぜひ、ご自宅やレストランでトライして、ワインと料理の生み出すマリアージュの奥深さを楽しんでみてください。