画像出典:※Instagram @krugchampagne さんより
数ある高級シャンパーニュの中でも異彩を放つクリュッグ。
「シャンパーニュの帝王」とも呼ばれ、国賓をもてなす宮中晩餐会ではたびたび登場。
そして、世界中のワインジャーナリストたちから圧倒的な評価を獲得するだけでなく、「クリュギスト」と呼ばれる熱狂的なファンもおり、その存在がクリュッグをより有名にしています。
これほどまでに人びとを魅了するクリュッグの秘密は何なのか?
その答えは、グランド・キュヴェと呼ばれる、クリュッグの基本にして、もっとも完成されたシャンパーニュにあります。
このグランド・キュヴェを飲めば、このメゾンの伝統、そしてシャンパーニュ造りの哲学を一発で理解できるでしょう。
この記事では、孤高ともいえるシャンパーニュメゾン、クリュッグの歴史を辿り、グランド・キュヴェの製法や特徴をソムリエの視点から詳しく解説。
読み終えた後には、クリュッグの世界観がわかり、実際に飲んでみたときの体感が全く違ってきますので、ぜひ最後までお読みいただければと思います。
※掲載されている価格は2022年04月11日時点のものです。
【熱狂的なファンを生む】
クリュッグとは?
画像出典:※Instagram @krugchampagne さんより
クリュッグは、1843年にヨーゼフ・クリュッグによって創業されたシャンパーニュメゾン。
ドイツ出身のヨーゼフは、著名メゾンのひとつであるジャクソンで働いていましたが、自らの思い描くシャンパーニュを造りたいとの想いから、自身のメゾンを開きました。
手間ひまを厭わず、常に最高品質のシャンパーニュを追求し、生産量も大手メゾンの約10分の1程度。
まさに職人が造るオートクチュールとも呼べるシャンパーニュです。
1999年には世界的なLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)グループに加わりましたが、6世代にわたる家族経営の伝統を頑なに守り続け、世界中のシャンパーニュ愛好家を魅了し続けています。
【クリュッグ偏愛主義】
クリュギストの存在
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スポーツや音楽をはじめ、どんなジャンルでも熱狂的なファンは存在しますが、クリュッグも例外ではありません。
クリュッグを愛するファンは、もはや愛好家という言葉では収まりきらない熱量で、狂信的ですらあります。
中には「クリュッグ以外は飲まない」という猛者もおり、クリュッグはそんな彼らのことを「クリュギスト」と呼ぶように。
代表的な例では、ココ・シャネル、マリア・カラス、アーネスト・ヘミングウェイ、そしてエリザベス女王といった著名人が並びます。
【メゾンのスタンダードにして真髄】
グランド・キュヴェを知る
「シャンパーニュの帝王」や「唯一無二のシャンパーニュ」など、最上級の賛辞を欲しいままにするクリュッグ。
そのメゾンの顔ともいうべきシャンパーニュが、グランド・キュヴェです。
メゾンの哲学のすべてが詰まっていると言っても過言ではなく、香り、味わい、ボディ、そして熟成感といったあらゆる要素が見事なバランスで保たれ、究極の調和を生み出しています。
このグランド・キュヴェを特徴づけているいるのは、クリュッグの真骨頂ともいうべき、「マルチ・ヴィンテージ」と「フレンチオークの小樽」です。
この2つの言葉が意味するところはいったい何なのか、さっそく見ていきましょう。
【ブレンドの芸術】
マルチ・ヴィンテージとは?
画像出典:※Instagram @krugchampagne さんより
通常シャンパーニュでは、マルチ・ヴィンテージという名称は一般的ではなく、ノンヴィンテージ(NV)と呼ばれます。
もともとシャンパーニュが造られる地域は天候が不安定で、ブドウの品質や収穫量を一定に保つことが困難でした。
そこで、リザーヴワインと呼ばれる、ストックしておいた複数のヴィンテージ(収穫年)のワインをブレンド(=アッサンブラージュ)して、毎年同じクオリティのシャンパーニュを造る習慣ができました。
これがノンヴィンテージ(NV)と呼ばれるシャンパーニュです。
クリュッグのグランド・キュヴェも基本的な製法は同じですが、マルチ・ヴィンテージと呼ばれる所以は、芸術とも呼ばれるリザーヴワインのブレンドにあります。
創業者のヨーゼフは、「天候に左右されず、毎年最高のシャンパーニュを造ること」を目標とし、ブレンドするリザーヴワインの質と量を上げることを決意。
ブドウ畑の区画ごとにワインを仕込み、そのテロワール(土地、区画の気候的・土壌的特性)を反映させることに注力しました。
そして、「複数年のワインをブレンドすることがベスト」という結論に至り、マルチ・ヴィンテージのグランド・キュヴェが完成したのです。
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現在では、シャンパーニュで使用されるピノ・ノワール、シャルドネ、ムニエの3種類のブドウから造られる400種を超えるリザーヴワインをストックし、古いものでは10年を超えるものも含まれます。
グランド・キュヴェの完成には、優に100種類を超えるリザーヴワインがブレンドされ、場合によっては200種類近いときもあります。
そして、瓶詰めされたのち、最低6年以上もの年月をかけてメゾンのワインセラーで熟成されたのち、リリースされます。
【変わらぬ伝統】
フレンチオークの小樽
画像出典:※Instagram @krugchampagne さんより
もう一つ、クリュッグが他のメゾンと異なる点は、リザーヴワインを発酵させる際に使用する昔ながらの小樽。
中でも高級とされるオーク材を使用した小ぶりな樽で、平均使用年数が30年を超える古さが特徴です。
近年、フレッシュ感を大切にするためにステンレスタンクを使用するのが主流なのになぜか?
理由は、オーク材の小樽で熟成させることで得られる複雑な味わいにあります。
オークという素材は、他のものよりも酸素の供給用が多く、樽内のワインの熟成を促してくれるのです。
また、小ぶりであることから、樽の中のワインと樽との接触の割合が増え、樽の恩恵を多く受けることが可能に。
そして古い樽なので、ワインに余計なオークのニュアンスを付けることなく、ワイン本来の風味を残しつつ熟成を行うことができます。
メンテナンスには、職人の手やコストがかかりますが、最高品質を追い求めるメゾンにとっては、些細なことなのかもしれません。
【ソムリエもこの一択|クリュッグを知るなら】
グランド・キュヴェ
画像出典:※Instagram @krugchampagne さんより
ソムリエの視点から見ても、やはりクリュッグの世界観を体験するなら、このグランド・キュヴェ以外には考えられません。
芳醇な味わい、長期熟成による複雑な香り、そして合わせる料理を選ばない完成度の高さは目を見張るものがありますし、実際このグランド・キュヴェ1本さえあれば十分とさえ感じてしまいます。
また、2016年の末から、グランド・キュヴェのラベルには、”EDITION(エディション)”という表記が付けられ、1845年の一番最初のリリースから何番目のものなのかが分かるようになりました。
最新のものは、”169 エディション”。
過去のエディションも含め、それぞれの特徴や詳細を商品ページから確認できるので、各エディションがどのようなコンセプトで造られたかが分かるので面白いですよ。
KRUG GRANDE CUVÉE
クリュッグ グランド・キュヴェ
画像出典:※Instagram @krugchampagne さんより
希望小売価格:¥34,980(税込) / 1本(750ml)
テイスティングノート
淡いゴールドの色合いと、きめ細かく快活な泡は、このシャンパーニュがもたらす喜びの証。その香りは、満開の花や熟した果実、ドライフルーツ、柑橘類、マジパン、ジンジャーブレッドを彷彿とさせます。
さらに、口に含めば、ヘーゼルナッツやヌガー、大麦糖、果実のゼリー、柑橘類、アーモンド、ブリオッシュ、蜂蜜のような味わいが広がります。
引用元: クリュッグ公式サイトより
シャルドネ 35%
ムニエ 22%
※169 エディションのブレンド
クリュッグの本質に触れる
「シャンパーニュの帝王」と呼ばれるクリュッグの歴史にはじまり、メゾンの代名詞ともいえるグランド・キュヴェの製法や特徴までを見てまいりました。
「帝王」の名に恥じない、代々受け継がれてきたこだわり抜いたシャンパーニュ造りとその味わいが、現在の確固とした名声を築いたと言えます。
高級シャンパーニュと言われるだけあって、おいそれと気軽にトライできる価格帯ではありませんが、シャンパーニュのボトル1本に凝縮されたクリュッグの歴史、伝統、そして哲学には、その価値は十分にあると思います。
クリュッグにご興味を持たれたみなさんには、グランド・キュヴェを体験するその日まで、ぜひこの記事を頭の片隅に置いておいていただければと思います。
クリュッグについて、さらに詳しく知りたい方は、下記をお読みください。
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