モエ・エ・シャンドンというと、シャンパーニュの代名詞ともいえるメゾン(メーカー)で、多くの方がそのボトルや名前を目に、耳にしたことがあるかと思います。
多くの酒販店や百貨店で目にすることができ、その知名度の高さゆえ、「みんな知ってるシャンパーニュ」、「なんか特別感がない」、「ワイン初心者向け」といったイメージを抱いている方も多いのではないでしょうか。
しかし、モエ・エ・シャンドンは、世界売上No.1を誇る世界最大規模のシャンパーニュメゾンであり、クオリティの高さと安定感は群を抜いています。
高級シャンパーニュのシンボルともいるドン・ペリニョン(あのドンペリです)を生産しているのも、何を隠そうこのモエ・エ・シャンドンなのです。
そこでこの記事では、まずモエ・エ・シャンドンの見過ごされてしまっている魅力を紐解きます。
そして、味わいと価格面を考慮して、モエ・エ・シャンドンの全ラインナップの中から、ソムリエが選ぶ「飲むべきベスト3」を詳しく解説。
そのほかのアイテムについても簡単に特徴を挙げながらご紹介いたしますので、ぜひ最後までお読みいただければと思います。
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【世界売上No.1メゾン】
モエ・エ・シャンドンとは?
モエ・エ・シャンドンは、クロード・モエによって1743年に創立されたの世界最大規模のシャンパーニュメゾン。
創業から270年以上にわたり、ルイ15世をはじめとする王族や貴族などの一流の顧客やワイン愛好家たちをを魅了し続けてきました。
メゾンの根底にあるコンセプトは、「シャンパーニュの魔法を世界中に」。
当時は貴族といった限られた階級の人たちだけのものだったシャンパーニュでしたが、「より多くの人たちに楽しんでもらいたい」という信念が実り、現在のような世界的なシャンパーニュメゾンへと成長しました。
この躍進を支えたのが、徹底した品質へのこだわり。
シャンパーニュ地方でも類を見ないほどの広大な自社畑を有し、高品質なブドウを管理・生産しています。
また、高級シャンパーニュの代名詞ともいえるドン・ペリニョン(いわゆるドンペリ)を生産しているのも、実はこのモエ・エ・シャンドン。
高い技術力を余すことなく発揮することで、他のシャンパーニュのレベルも高い次元で維持しているのです。
【1秒に1本開くシャンパーニュ】
世界中で愛され続ける理由
モエ・エ・シャンドンの年間の生産本数は、なんと約3,000万本。
同社によると、世界中のどこかで1秒に1本、彼らのシャンパーニュが開けられていると言います。
なぜこれほどまでに、モエ・エ・シャンドンが世界中で愛され続けるのか?
その理由は、シャンパーニュの「基準」ともいえるその確かな味わいにあります。
長い歴史の中で、王侯貴族といった舌の肥えた顧客たちを魅了しながらも、決して飲み飽きることのない「究極のスタンダード」ともいえるその味わいは、万人に受け入れられ、世界中へと広まっていきました。
そして、世界規模で流通していながらも味わいにバラつきはなく、「いつ・どこでも」彼らのシャンパーニュの味わいが楽しめることも、やはり愛され続ける理由の一つでもあります。
F1でのシャンパンファイトや国際映画祭など、常に華やかなシーンを彩る役割を果たしてきたことも、モエ・エ・シャンドンの品質と味わいが、世界的に認められている証と言えるでしょう。
また、後ほどご紹介する、世界で初めての氷を浮かべて飲むアイス・アンぺリアルを生み出したり、ブランドアンバサダーとして、世界的なプロテニスプレーヤーのロジャー・フェデラーを起用するなど、伝統に縛られない革新的な試みも、多くのワイン愛好家たちを惹きつける魅力でもあります。
【ベスト3を発表!】
飲むべきはこのアイテム
ここからは、本題のソムリエが選ぶ「飲むべきベスト3」を解説していきます。
モエ・エ・シャンドンの最大の魅力は、品質の高さと優れたコストパフォーマンスの2点。
近年は、有機栽培を積極的に取り入れる小規模生産者に注目が集まりがちですが、大手メゾンの実力を侮ってはいけません。
ここでご紹介するアイテムを騙されたと思って一度飲んでみれば、モエ・エ・シャンドンのイメージがガラリと変わりますよ。
それではさっそく見ていきましょう。
【第1位|圧倒的コスパと絶妙な熟成感が堪らない】
グラン・ヴィンテージ 2013
Grand Vintage 2013
ムニエ 21%
シャルドネ 41%
モエ・エ・シャンドンのフラッグシップともいえるのが、このグラン・ヴィンテージと、後ほどご紹介するグラン・ヴィンテージ・ロゼ。
天候に恵まれた出来の良いヴィンテージ(収穫年)のみ生産される特別なシャンパーニュで、ブドウの選定から熟成期間まで徹底的にこだわって造られています。
歴史は1842年まで遡り、イギリスとアメリカのワイン愛好家から「より個性的で熟成したワインを」というリクエストから誕生。
今回ご紹介する2013年は、最初のリリースから75番目のヴィンテージに当たります。
シャンパーニュの熟成期間は通常3年程度ですが、こちらのグラン・ヴィンテージは倍以上の約7年にも及びます。
この2013年はとりわけシャルドネの出来がよく、ピノ・ノワールとほぼ同じ比率でブレンドされていますが、シャルドネ由来の豊かな酸が熟成を支えています。
高品質なシャルドネ由来のフレッシュな酸と、長期熟成に由来するハチミツやナッツなどのニュアンスが絶妙なハーモニーが最大の魅力。
グラスの底から立ち上る泡は、熟成により非常にきめ細かで、糸を引くような繊細さです。
そしてこのシャンパーニュを”推す”一番の理由は、コストパフォーマンスの高さ。
一般的に、ヴィンテージ・シャンパーニュとなると、最低でも¥15,000前後は覚悟しなければなりませんが、楽天などのオンラインショップでは、¥7,000台から販売されており、いかにコストパフォーマンスに優れているかがわかるでしょう。
モエ・エ・シャンドンという世界最大規模のメゾンだからこそ、実現できるこの品質と価格なのです。
価格面や入手のしやすさを考えると、週末をちょっと贅沢に過ごしたいときに、選択肢にトップに挙げたいアイテムと言えます。
【第2位|芳醇なアロマと深く長い余韻が魅力】
グラン・ヴィンテージ・ロゼ 2013
Grand Vintage Rosé 2013
ムニエ 21%
シャルドネ 35%
上記のグラン・ヴィンテージと並び、モエ・エ・シャンドンの2トップの一角をなすグラン・ヴィンテージ・ロゼ。
2013年ヴィンテージは、44番目のもの。
グラン・ヴィンテージと同じく約7年の長期熟成を経てリリースされますが、よりフレッシュでロゼならではの赤いベリー系の果実味を楽しむことができます。
ラズベリーやザクロやにはじまり、徐々にブラッドオレンジのようなやや温かみのあるアロマへと変化。
少し大ぶりのグラスに注ぎ、空気を含ませながら飲むことで、隠れている豊かな香りを最大限に愉しむことができます。
ロゼなのでピノ・ノワールの比率が高くボリューム感があり、前菜からメインまで1本で通すことができます。
だんだんとスパイスのニュアンスが感じられるようになるので、ハーブやスパイス豊かな中華やエスニックといったオリエンタルな料理との相性も抜群です。
通常のシャンパーニュと比べると、ロゼ・シャンパーニュは製法に手間ひまがかかるのでやや割高になりがちですが、こちらのロゼは、グラン・ヴィンテージとそれほど価格差なく購入できる点でも非常におすすめ。
ヴィンテージ・シャンパーニュの、しかもロゼが、オンラインショップで購入すれば¥10,000でお釣りがくるコストパフォーマンスの良さを考えると、ワインラヴァーとしては絶対に見逃せないアイテムです。
【第3位|ベーシックながら果実味とボリューム感が◎】
アンぺリアル ロゼ NV
Rosé Impérial NV
ムニエ 30% – 40%
シャルドネ 10% – 20%
スタンダードラインのロゼ・アンぺリアル。
グラン・ヴィンテージ・ロゼよりもピノ・ノワールの比率が少し高く、よりフレッシュなベリー系のアロマと果実味が楽しめます。
リザーヴワインと呼ばれるシャンパーニュを造る際に使用されるストックされていた古いワインを20-30%ほどブレンドしており、程よい熟成感を感じられます。
上記のグラン・ヴィンテージ・ロゼと同様、カバーする料理のジャンルは幅広いのが魅力。
華やかな色合いも合わせて、ピンチョスなどさまざまなメニューが登場するパーティーシーンにもおすすめの1本です。
少し低めの温度でスタートするのがこのロゼを楽しむコツ。
初めは生き生きとしたアロマと果実味が感じられ、徐々に温度が上がるにつれて赤ワインのようなボリューム感を愉しむことができます。
【モエと言えばこれ】
モエ・アンぺリアル NV
モエ・エ・シャンドンの顔ともいえるのが、こちらのモエ・アンぺリアル。
酒販店や百貨店で必ずと言ってよいほど見かけるボトルで、シャンパーニュと聞いてまずこのデザインを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
歴史も古く、アンぺリアル(=皇帝)を意味するこのシャンパーニュは、1869年にあのナポレオン1世の生誕100周年を記念して誕生したもの。
もっともスタンダードなキュヴェながら、その安定した味わいが最大の魅力で、フレンチやイタリアンといった洋食に限らず、和食ともとても相性がよいです。
モエ アンぺリアル NV
Moët Impérial NV
ムニエ 30 – 40%
シャルドネ 20 – 30%
【甘さだけじゃない上品な酸を楽しむ】
ネクターシリーズ
これまでご紹介してきた通常のラインナップに加え、モエ・エ・シャンドンで外せないのが甘口タイプのネクターシリーズ。
単に甘いだけではなく、高品質なブドウに由来する上品な酸味が余韻をすっきりと締めくくるので、食前・食中に関わらず楽しむことができます。
【パーティーシーンにはモエの最新作を】
ネクター・アンぺリアル・ロゼ ドライ N.I.R(ニル)NV
Nectar Impérial Rosé Dry N.I.R NV
目を引く特徴的なデザインで、ボトル底のスイッチ(防水しよう)を押せば、ロゴやボトルにあしらわれた光線が光る仕組みになっており、パーティーや、インスタなどでも目立つこと間違いなしです。
ピノ・ノワールが主体で、ボリューム感のある味わいが特徴。
野イチゴやカシスのアロマが豊かで、ほんのりとした甘みと相まってスルスルと飲めてしまします。
【お酒が苦手な方にもおすすめ】
ネクター・アンぺリアル NV
Nectar Impérial NV
普段ワインを飲み慣れていない方やお酒が苦手な方にもお勧めしやすいアイテムです。
【氷を入れて完成?シャンパーニュの新しい楽しみ】
アイスシリーズ
最後にご紹介するのは、世界で初めての氷を浮かべて完成するシャンパーニュを2アイテム。
地中海沿岸の南フランスでは、古くから暑い夏には贅沢にシャンパーニュを氷でキンキンに冷やして飲む風習があったそう。
そこでモエ・エ・シャンドンが氷が溶けても美味しく楽しめるよう生み出したのが、このアイスシリーズ。
老舗シャンパーニュメゾンが提案する新しいスタイルをお楽しみください。
【すっきりとした甘さでアペリティフにも】
アイス・アンぺリアル NV
Ice Impérial NV
シャンパーニュだけでも十分に楽しめますが、ライムやグレープフルーツ、ミントといった清涼感のあるものと合わせることで甘みがよりいっそう引き立ちます。
アペリティフにも最適で、食前にさっぱりと1杯飲めばディナーへの準備が整いますよ。
【甘酸っぱいカクテル感覚で楽しめる】
アイス・アンぺリアル・ロゼ NV
Ice Impérial Rosé NV
赤いベリー系のアロマが豊かで、甘酸っぱさとほんのりと感じるビターさが魅力です。
比較的ボリューム感もあり、たっぷりとした果実味があるので、単体でも十分に楽しめます。
パーティーなどで、軽くカクテル感覚で楽しむ際にぴったりの1本です。
モエ・エ・シャンドンの魅力を再発見しよう
モエ・エ・シャンドンの歴史にはじまり、飲むべきベスト3、そしてその他全ラインナップを見てまいりました。
定番と言えども、世界最大規模のメゾンが手掛けるシャンパーニュですので、その品質の高さと安定感をぜひとも体感していただきたいです。
また、大手メゾンの良さがわかると、改めて小規模生産者のシャンパーニュの持つ良さや楽しみ方にも気が付くと思いますので、ご自身でいろいろとテイスティングされてみてはいかがでしょうか。
この記事が、みなさんのワインライフのご参考になれば幸いです。
シャンパーニュやモエ・エ・シャンドンについて、さらに詳しく知りたい方は、下記をお読みください。
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